酸素ボンベの残量チェック方法は?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「酸素ボンベの残量チェック」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
酸素ボンベの残量チェック方法は?
酸素ボンベの残量は、圧力計でチェックします。「指示流量」と「ボンベの内容積」から「早見表」を活用しましょう。
〈目次〉
酸素ボンベの残量チェック時の注意点
・酸素ボンベと圧力計、圧力計と酸素流量計の各接続部から酸素の漏れがないか確認する。
・残量チェックは、酸素ボンベを立て、酸素流量計と残圧計が「0」を示す状態で行う。
・開栓時には、完全に開く。以前は「開けたら少し戻す」としていたが、これだと酸素残量があっても出なくなることがあるため、現在は完全開栓が推奨されている。
1酸素の残量の計算
使用可能時間は、圧力計の値・ボンベの容量・指示流量から計算できる。
まず、圧力計の単位(kgf/cm2かMPa)、ボンベの内容積(ボンベに刻印されているVの値→3.5Lや10Lなど)を確認する。一般的に使用されているのは内容積3.5Lであり、ガス容量は500L(15mPa)である。
例:内容積3.5L(ガス容量500L)の新品のボンベから5L/分の流量で酸素を流した場合、100分(500L÷5L/分)酸素を供給できる。
残量計算の方法を(図1)に示す。
2早見表の活用(表1)
計算が大変ならば、計算式を表にした「早見表」を活用する。
例:ボンベの圧力(MPa)が10のとき、酸素流量5L/分で使用すると使用可能時間は56分となる。
酸素ボンベ使用時は必ず残量を確認し、使用可能時間は余裕をもって使用する。
酸素ボンベの保管時の注意点
酸素ボンベ使用後は、必ず圧力計を0(ゼロ)にする。
圧力計がゼロになっていないときは、圧力計に圧力がかかっている状態であり、圧力計故障の原因となる。
圧力計がゼロになっていないと、開栓忘れが生じたときに、圧力計内部に残っていた酸素によって一時的に酸素が流れるため、開栓忘れに気づかないことがあり、危険である。
ボンベ使用中止後は、①バルブを閉じ、②圧力計がゼロになったら、③流量計をオフにする、という順で行うとよい。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社