看護師は泣いてもいいの?|仲本りさのTALK ROOM【8】

看護師&イラストレーター、仲本りさが看護師&看護学生のみなさんのお悩みにイラストエッセイでお答えします。

仲本りさのTALKROOMタイトルイラスト

連載:仲本りさのTALKROOM

お悩み8 患者さんが亡くなる時に、どうしても泣いてしまいます

今回のお悩み 

ICUで働いて5年目の看護師です。

わたしは患者さんが亡くなるときに、患者さんのご家族に感情移入して泣いてしまいます。

自分と関わりがある患者さんかどうかは関係なく、泣いてしまいます。

泣くことに対して、「ダメだよ」と言う先輩もいれば「悪いことじゃないよ」と言う先輩もいます。

でもわたし的には、少なくとも患者さんが亡くなっていない状態で、感情移入して看護師まで泣くのは良くないと思っています。

「この看護師大丈夫かな?」とか「看護師が泣くってことはやっぱりもう絶対助からないのかな?」とか、色々考えさせてしまうと思うのです。

しかし、わかっていても、涙が溢れてきてしまってコントロールできません。 

どうしたら毅然と対応できるのでしょうか。

 

 

(ななこ 5年目看護師)

 

患者さんが無くなりそうな時に涙がこらえきれない看護師のイラスト

 

りさの回答

こんにちは、お悩み相談いただきありがとうございます。

 

涙を流すことがダメなことなのかどうか…

この感覚はとても難しいところですよね。

 

わたしも、患者さんが少しずつ痩せてきているのを見ると、

まだ急に状態が悪くなるような状況でないのに

悲しくなって涙が出てしまいそうなこともあります。

 

感情のコントロールをしろと言われても、難しいんですよね。

知識やスキルは日々のトレーニングで変えることができるのですが、

感情に関してはとても難しい。

 

それは悲しくて涙が出るときだけでなく、

嬉しくて笑ったり

腹が立って声を荒げたりすることも

同じだと思います。

 

感情をコントロールするのは難しいことを説明するイラスト

 

その中でもななこさんは

悲しいときに涙が出ることが

特に止められないのでしょうね。

人によっては

すぐに怒ってしまうことを

悩んでいる人もいるかとも思います。

 

泣いたり、

笑ったり、

怒ったり、

悲しくなったりして、

それが言動に直結してしまうことは

誰しもあると思います。


わたしも、働く中で、

余命の告知や最期の場面に携わる機会が多く

その際に溢れてくる自分の気持ちが、

看護師という立場上どうなのか

と慎重に考えています…。

 

「仕事の上で生じる感情をどう消化・表現したら良いのか」

ということについて長く考えてきましたが、

わたしが一つ指針にしているのは

(どこから見つけた言葉だったか引用先を忘れてしまいましたが…)

「看護師は感情をもケアにする」

という言葉です。


悲しい気持ちを一緒に分かち合うことで、

患者さんがスッキリしたように笑ってくれた経験があります。

その時に「共感する」という行為そのものにケアの力を感じました。

それ以来、

感情を「塞ぎ込める」のではなく「ケアにする」

これを実践できるように、とトライしている最中です。

 

ここからはあくまで私の場合ですが、

感情を閉じ込めようとする方向ではなく

どうしてこんな気持ちになっているのか

できるだけ相手に誤解のないように伝えることを心がけています。


「一生懸命頑張っている患者さんを見守るご家族の皆さんの様子をみると涙が出てしまいました」

「頑張っていた姿をよく見ていたので、涙が出ました」

「患者さんにこんな風に声をかけてもらったことを思い出して気持ちが溢れてきました」

 

いろいろな感情がどうして動いたのか

具体的に伝えます。

 

 

嬉しかったときも、腹が立ったときもです。

(患者さんに対して腹が立って感情的になることはほとんどないのですが、対患者さんだけでなく友達や家族など、日頃のコミュニケーションでも大切だなと思います。)

 

もちろん伝えることは難しいです。

自分がどうして涙が出たのかわかって、

それを言葉にして

その言葉を

相手に誤解なく

届けなくちゃいけないのですから。

 

でも、

伝えたいと思って言葉を発していけば、

少しずつ

言葉が気持ちに追いついてくるんじゃないか

と思います。


看護師は

感情を塞ぐことでプロになっていくものではない

とわたしは信じています。

 

感情に振り回されて冷静な判断ができなくなるとか、

他の仕事がおろそかになるとかがないようにするのを前提として、

その上で

自分の感情も大事にできてこそ、

患者さんが嬉しいときに一緒に喜べる心でいられるのではないでしょうか。

 

自分の感情も含めてケアしているイラスト

 

 

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【プロフィール】

仲本りさ 

1991年生まれ。大阪府出身。看護師兼イラストレーター。看護師についてのInstagramが話題となり、実話に基づいたイラストエッセイ「病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。」(いろは出版)を出版。

 

Instagram:@risa_rsrs

Twitter:@RisaRsrs

Blog:リサノート

Interview:真っ暗だった1年目を越えて。今伝えたいこと

 

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