看護師に対する行政処分ってなに?医療過誤から窃盗まで対象一覧

 

刑事処罰を受けた看護師に対して行われる「行政処分」を知っていますか?

 

例えば医療過誤や窃盗、悪質な交通事故、不法な麻薬所持などによって、毎年、20人前後が行政処分の対象となって、免許取消や業務停止などの命令を受けています。2008年からは行政処分を受けた看護師を対象とした、再教育制度もスタートしました。

 

【目次】

行政処分の3種類「免許取消」「業務停止」「戒告」

直近5年で69人が業務停止に

増加傾向にある医療過誤の業務停止

行政処分者に対する再教育制度がスタート

 

行政処分の3種類「免許取消」「業務停止」「戒告」

行政処分とは、看護師等が罰金以上の刑に処せられた場合、厚生労働大臣によって免許の取り消し、または期間を定めた業務の停止が命じられる制度です。

 

行政処分は重いものから順に、「免許取消」「業務停止」「戒告」があります。行政処分までは至らないと判断されたものについては、行政指導(厳重注意)となることもあります。なお「業務停止」は上限が3年と決められています。

 

行政処分の対象となるのは、次のようなケースです。

 

(1)身分法(保健師助産師看護師法、医師法等)違反

免許を持たない者による医療行為および不法な医療行為

 

(2)麻薬等の違法行為

麻薬および向精神薬、覚せい剤等の不法所持・譲渡、使用など

 

(3)殺人および傷害

 

(4)業務上過失致死傷(医療過誤)

 

(5)業務上過失致死傷(交通事犯)

交通事故による致死傷を起こし、警察等への通報や被害者の救護をせずに逃走した場合など


(6)危険運転致死傷

飲酒など正常な運転ができない状態での運転など

 

(7)わいせつ行為等(性犯罪)

特に看護師としての立場を利用して行った事犯や強姦・強制わいせつについては、相当に重い処分を行うべきとされる

 

(8)詐欺・窃盗

 

直近5年で69人が業務停止に

毎年、約20人前後の看護師が行政処分の対象となっています。直近5年間でみると、免許取り消しが13件、業務停止が69件、戒告6件です。

 

処分内容の具体的な内訳をみると、自動車運転過失致死や窃盗などが多いものの、医療過誤に関する業務上過失死傷も増加傾向にあります。

 

増加傾向にある医療過誤の業務停止

また、医療過誤訴訟による業務停止は6か月以内という短期間に集中しています。

 

日本看護協会の調査によると、医療過誤を起こして業務停止となった看護師の約7割は、業務停止が解除されたのちに職場復帰しています。また、病院に職場復帰した人の半数は、もといた職場に戻っていました。

 

そのため行政処分を受けた看護師については、改めて適切な教育をほどこし、看護師としての自覚や倫理の再確認、業務停止中の技術の低下をおぎなう必要があります。

 

行政処分者に対する再教育制度がスタート

そこで2008年4月1日から、医師などと同様に、行政処分を受けた看護師に対する再教育制度がスタートしています。

 

再教育の内容は、もっとも軽い処分である戒告では、集合研修1日程度、業務停止2年以上の場合は、集合研修2日プラス120時間の個別研修を受けることが求められています。

 

行政処分を受けた看護師に対する再教育制度は、国民に安全な医療を提供するために大切な制度です。一方で、現場の負担増などから再教育の指導者不足という問題が起きており、必要な再教育が受けられていない状況も起きています。

 

厚生労働省は病院団体などに対して、指導者を引き受けてくれるようにうながす通知などを出していますが、引き受けによる負担増などから、指導者が思うように集まらないのが現状のようです。

 

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