祝!初任給~看護師が知っておきたい給与明細の見方

ナースのお金に関する悩みをプロの視点からアドバイス!

働く女性のマネー術に詳しいファイナンシャルプランナー花輪陽子さんがナースのお金の悩みに答えます。

 

祝!初任給~看護師が知っておきたい給与明細の見方

 

新人さんにとっては初任給の季節ですね。もう受け取りましたか?

「いろいろ引かれていてよく分からない」「手取り額だけ見た」という方も多いかもしれませんね。

でも給与明細って他の人のモノを見る機会が少ないだけに、自分の明細が本当にあっているか気になりませんか?

 

今回は、給与明細の見方と「よく分からないけど引かれているお金」の正体についてお伝えします。

 

(illustration:松元まり子)

 

1.[支給欄]ナースがチェックすべきは変動する金額!

2.[控除欄]よくわからない「控除」の正体は?

3.2年目は新人より手取りが少ない!?税金のカラクリ

4.使い方を知らないとモッタイナイ!社会保険料

 

 

[支給欄]ナースがチェックすべきは変動する金額!

看護師さんの給与明細の特徴は、毎月変動する金額、つまり夜勤手当時間外勤務手当の割合が大きいことです。

新人さんの場合、まだ夜勤や残業がないかもしれませんが、夜勤や残業が始まれば、勤怠欄も合わせて確認し、自分が働いた分だけきちんと夜勤手当や時間外手当が支給されているか、必ずチェックしましょう。

 

看護師の給与明細(1)変動手当に注目

また「基本給」や「資格手当」、「住宅手当」などは、毎月固定ですが、就職の際に条件提示された金額と合っていますか?

こちらも念のため、確認しておきましょう。

 

 

[控除欄]よく分からない「控除(コウジョ)」の正体は?

さて、給与明細にのっているのは支給されるお金だけではありません。

基本給や各種手当をあわせたものを総支給といいます。

この総支給額から「控除(コウジョ)額」を引いたものが手取り額になります。

看護師さんの給与明細(2)控除欄に注目

給与明細のサンプルを見ていただくと、29万円の総支給に対し、6万1,082円も控除として差し引かれているのが分かります。

 

この控除とは何でしょう?

控除は大きく分けて「税金」と「社会保険料」の2種類です。

 

税金

  • ・所得税
  • ・住民税

 

社会保険料

  • ・厚生年金保険料
  • ・健康保険料
  • ・介護保険料
  • ・雇用保険料

 

「所得税」と「住民税」は何が違うのでしょう?

また「社会保険料」は何のためのお金なのでしょう。

以下で解説するので、それぞれの役割・特徴を知った上で給与明細をチェックしましょう。

 

2年目は新人より手取りが少ない?「税金」のカラクリ

看護師さんの給与明細(3)税金に注目

「所得税」と「住民税」はどちらも個人の所得に対して課税される税金で、所得が多い人ほど税額も多くなります。

 

住民税

税金で押さえておきたいポイントは、住民税は2年目の6月から課税されるという点です。

なぜ、2年目から課税されるかというと、住民税は前年の所得に対して課税されるからです。

よって新人さんの場合、前年は学生で給与所得がありませんので、給与明細では住民税の欄が0円になっていると思います。

この結果、「2年目になったのに、住民税が引かれる分、去年より手取りが少ない!」「退職して今年は収入が無いのに、住民税を払わなきゃいけない」というケースもあります。

くれぐれも注意しましょう。

 

所得税

「所得税」は毎月の給与から源泉徴収されます。

1年間の給与総額が確定する12月に正しい税額を計算し、すでに徴収された税額との過不足を清算します。これを年末調整といいます。

 

使い方を知らないとモッタイナイ!「社会保険料」

看護師さんの給与明細(4)社会保険料に注目

社会保険料は、将来的なリスクに備えるためのお金で、具体的には病気やけが、失業、老後、介護などの場面で自分にかえってきます。

 

 

厚生年金保険

「厚生年金保険料」は一定年数以上納めれば将来年金として戻ってくるお金です。

厚生年金保険料の自己負担分は8.737%です(平成26年9月分〜平成27年8月分)。総支給額にざっくりこの割合をかけて金額がかけ離れていないか確認をしましょう。

 

少し前に「宙に浮いた年金記録」についてメディアで騒がれたことがありました。現在は年金記録の付け合わせが進んでおり、誤りがある場合は事業主側の問題が多いそうです。給与明細とねんきん定期便や年金ネットで報酬額が正しく記録されているのか付け合わせをすると安心です。

 

健康保険

「健康保険料」は、保険料は掛け捨てですが、ケガや病気で保険医療機関に保険証を提示すると3割負担で医療サービスを受けることができます。私は会社員時代に医療サービスをほとんど利用していなくて払いっぱなしになっていました。

 

雇用保険

「雇用保険」は、失業した時や、無職期間に教育訓練を受ける時に、失業等給付を受け取れるものです。

保険料は一般事業所の場合、雇用者が0.85%、被雇用者が0.5%です(平成26年度)。

 

 

介護保険

「介護保険」は、将来自分が介護サービスを受ける時に役立ちます。介護保険を利用することで介護の度合いに応じた限度額までは1割〜2割負担で介護サービスを受けることができます。

介護保険料は40歳から負担することになり、保険料率は1.72%(全国健康保険協会 東京都 平成26年9月分〜)で会社と折半します。

 

 

このように給与明細をきちんと見ることで支給されるお金、控除されるお金の正体をしっかりと把握しておきましょう。

税金や社会保険料も、将来もらえる年金額を確認したり、社会サービスをうまく利用するなどして、ただ納めっぱなしということのないようにしたいですね。

 


【著者:花輪陽子】

ファイナンシャルプランナー(FP)。元外資系の投資銀行勤務。OL時代にはまったショッピングによりカードローンの残高は最大200万円に。失業も経験する。お金にコンプレックスがあり、勉強してFPになる。著書に『30代で1000万円貯める!共働き夫婦のマネー術』(日本経済新聞出版社)、『貯まらん女のお金がみるみる貯まる魔法のレッスン88』(マガジンハウス)、『貯金ゼロ借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』(小学館)など。
オフィシャルサイト http://yokohanawa.com/

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