オピオイド鎮痛薬|5つの副作用と看護のポイント

オピオイド鎮痛薬のおもな副作用や、副作用に対する看護のポイントについて紹介します。

 

看護監修:林ゑり子(横浜市立大学大学院医学研究科 看護学専攻 がん看護専門看護師)

医学監修:森田達也(聖隷三方原病院 副院長・緩和支持治療科)

 

 

1 オピオイド鎮痛薬の副作用

オピオイド鎮痛薬には、いくつか注意すべき副作用があります(表1)。

 

中でも「便秘」「悪心・嘔吐」「眠気」は、オピオイド鎮痛薬の三大副作用と言われています。

 

副作用が必ず出るわけではありませんが、起こり得る副作用による症状を覚えておきましょう。

 

表1オピオイド鎮痛薬のおもな副作用

オピオイド鎮痛薬のおもな副作用 便秘/耐性:できない、ポイント:起こることが多い。症状が出ると、服用中は出続ける。場合によっては、便秘改善薬を使用。経口オピオイド鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルフォン)が出やすい 悪心・嘔吐/耐性:数日~1週間でできる、ポイント:必ず起こるわけではない。悪心・嘔吐の際は、制吐薬を使用。 眠気/耐性:数日以内にできる、ポイント:不快な眠気の場合、薬の減量や他のオピオイドに変更を検討。ただし、心地よい眠気は経過観察。 ふらつき/耐性:数日以内にできる、ポイント:投与開始後や増量後、ふらつきが消失するまで、転倒予防として手すりを持つなど、ゆっくり動作するよう促す。 呼吸抑制/耐性:できる、ポイント:起こると重篤、急速静脈内投与で血中濃度が急激に上がった場合などに注意。

 

 

オピオイドに対する耐性

オピオイド鎮痛薬の副作用で押さえておきたいポイントは、耐性ができるかどうか(耐性とは、薬へ適応し、しばらくすると症状が出なくなること)です。

 

悪心・嘔吐は数日~1週間程度、眠気は数日以内に耐性ができるため、いずれ症状は落ち着いていきます。

 

一方、経口オピオイド鎮痛薬の使用時は、便秘は耐性ができないため、ずっと観察が必要となります。

 

そのため、経口オピオイド鎮痛薬を使用している患者さんの看護では、食事の摂取量や便秘の兆候がないかを継続的に確認しましょう

 

 

2 オピオイド鎮痛薬の副作用に対する看護のポイント

オピオイド鎮痛薬を使用している患者さんの副作用の確認ポイントをチェックリストにまとめました。

 

オピオイド鎮痛薬の副作用チェックリスト 継続的な確認ポイント:便秘の症状(排便が数日ない、お腹が張る)がないか 投与開始時・増量時の確認ポイント/悪心・嘔吐がないか、ふらつきがないか、不快な眠気がないか、呼吸回数が10回/分以上か

 

特に、オピオイド鎮痛薬の投与開始時や増量時に副作用が出やすいため、注意が必要です。

 

また、症状が強く出てしまうと、患者さんがピオイド鎮痛薬に対する抵抗感を覚えてしまい、今後の治療に影響してしまいますので、早期に発見や対応につなげることが重要です。

 

副作用の症状に気づいたら、先輩看護師や医師に相談しましょう。

 

執筆・編集:看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

参考文献

  • 1)日本緩和医療学会ガイドライン統括委員会編.がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版.金原出版,2020,53ー81.
  • 2)医療用麻薬適正使用ガイダンス作成検討会委員.医療用麻薬適正使用ガイダンス.厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課.2017.

 

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