コラム:ルート確保のほんとのところ
『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』より転載。
今回はルート確保について解説します。
著者/ぷろぺら(看護師)
医学監修/平野龍亮
相澤病院外科センター乳腺・甲状腺外科
日本外科学会専門医・日本乳癌学会乳腺認定医・臨床研修指導医
新人のころ、「術前のルート確保は基本的に手術する側の反対側に」と教わりました。 麻痺があったり、全く確保できない場合は手術側でも大丈夫ですか?
手術する部位や体位によりますが、「基本的に手術する側の反対側に」というのは、術中に全身管理をする麻酔科医の都合や機械を置く場所が関係してきます。そこで、麻痺がある場合などには、事前に麻酔科に確認しておく必要があります。また、手術する側の腕は手術する部位によっては腕がむくんでしまい、点滴漏れがあっても正確に判断できないというリスクもあります。
なお、術前の末梢ルート確保はできれば20Gにしてください。これは、術中に何かあったときに、血圧を保つため大量輸液を高速で行う必要があったり、大至急で輸血などを行うことがあるからです。
穿刺部位ですが、手背より上、正中より末梢の前腕部が推奨されます(図1)。
もし穿刺に失敗した場合は、より末梢に新たな末梢ルートを確保したときに失敗した部位から血管外漏出する可能性があるため、何度もトライするのはNG!
穿刺に失敗したときは、穿刺した部位をオペ室ナースに伝えてください。どうしても困難なら麻酔科医に相談するなどして対応しましょうね。
・術前の末梢ルート確保は手術する部位の反対側
・該当側に麻痺がある場合は、事前に麻酔科に確認!
・穿刺する針は20G(最低22G以上)
・ルート確保の部位は手背より上、正中より末梢の前腕部
・ルート確保が困難なら麻酔科に相談
【著者プロフィール】
ぷろぺら(@puropera44)
看護師。これまでに慢性期病棟、クリニック、消化器外科、HCU、救急病棟、泌尿器科、腎臓内科などを経験。
看護roo!では『マンガ・ぴんとこなーす』を連載中。
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本連載は株式会社南山堂の提供により掲載しています。
[出典] 『ナスさんが教える! ぴんとくる消化器外科看護』 著者・ぷろぺら/医学監修・平野龍亮/2020年3月刊行/ 南山堂