膿胸
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は膿胸について解説します。
稲垣由美子
さいたま赤十字病院10F西病棟看護主任
膿胸とは?
胸膜疾患とは、胸膜と胸膜腔(胸腔)に異常が生じた状態です。
胸膜疾患の一つである膿胸は、胸膜に炎症が起こり、胸腔(臓側胸膜と壁側胸膜の間)に膿性の胸水が貯留した状態です。
膿胸の原因は肺炎が多く、次いで術後感染、外傷後感染があります(表1)。
原因菌の種類によって、結核性、化膿性、真菌性に分けられます。
アルコール依存症や歯周炎で誤嚥することによっても発生します。
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患者さんはどんな状態?
経過によって急性膿胸と慢性膿胸に分けられ、症状も異なります(表2)。
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どんな検査をして診断する?
X線、CT、エコー、胸水検査、細菌検査を行います(表3、図1)。
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どんな治療を行う?
治療の基本は、抗菌薬投与と胸腔ドレナージを行います(表4)。
急性期に徹底的に治療を行うことにより、慢性膿胸への移行を阻止します。
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看護師は何に注意する?
胸腔ドレナージの管理
胸腔ドレナージの管理・観察を行います。排液は膿性で悪臭を認めることが多いため、性状の変化に注意して観察を行います。
胸腔内貯留物(凝血や膿)により排液の粘稠度が高いため、ドレーンが閉塞していないか、折れ曲がったり抜けかかったりしていないか、注意して観察します。ドレーンの閉塞時には呼吸性変動が消失します。
栄養状態の観察
呼吸困難により運動・活動量が減少して食欲が低下し、食事量の低下につながります。栄養摂取量だけではなく、身体的、精神的、社会環境など全体の把握が必要です。低栄養は自分では気づかずに進んでいることが多いため、注意が必要です。
必要に応じて栄養サポートチームや摂食嚥下チームの協力を得て栄養管理を行い、呼吸に使う筋力を強め、体力を維持して感染症による増悪を予防します。
口腔内の観察・情報収集
口腔内の常在細菌などによって増悪することが多いとされています。う歯や歯周炎は肺感染症と深く関連しており、誤嚥性肺炎から肺膿瘍や膿胸に進展する場合もあります。特に高齢者、糖尿病患者さん、ステロイド長期使用者など、感染に対する抵抗力が弱い人にみられます。そのため、歯磨きや口腔ケアが確実に行えているか確認します。
口腔外科にて抜歯や治療を行う場合もあります。
抗菌薬の確実な投与
末梢静脈からの投与については、点滴刺入部の発赤や腫脹、痛みがないかの観察を行い、確実な投与ができるよう観察していきます。
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膿胸の看護の経過
膿胸の看護の経過は以下のとおりです(表5-1、表5-2、表5-3、表5)。
表5-3 膿胸の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社