肺クリプトコッカス症
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は肺クリプトコッカス症について解説します。
平澤真実
さいたま赤十字病院ICU看護主任
慢性呼吸器疾患看護認定看護師
肺クリプトコッカス症とは?
肺クリプトコッカス症は、真菌の一種であるCryptococcus neoformans(クリプトコッカス ネオフォルマンス)がハトやニワトリなどの鳥類の糞便で汚染された土壌で増殖し、それらを吸入することで罹患する感染症です。
真菌とは真核微生物の一種で、カビやキノコ類が含まれます。
地球には約10万種類が存在するといわれていますが、そのうちヒトに病原性を示すものが真菌感染症の原因となります。
免疫機能の低下した患者さんのみならず、健常者も発症します(表1)。
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患者さんはどんな状態?
健常者は無症状のことがありますが、免疫機能の低下した患者さんが発症すると、発熱や咳嗽、倦怠感や胸痛などの症状が出現します(図1)。
髄膜炎を引き起こすこともあります。
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どんな検査をして診断する?
X線やCTでは、結節影や腫瘤影などさまざまな像がみられる(図2)ため、血液検査をあわせて行います。
気管支肺生検(TBLB)では、酵母様真菌を認めます。
血液検査ではグルクロノキシロマンナン(GXM;glucuronoxylomannan)抗原が陽性となります。
免疫不全患者さんの感染が疑われた場合には、髄液検査にて髄液クリプトコッカス抗原検査を行い、クリプトコッカス髄膜炎の併発の有無を確認する必要があります。
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どんな治療を行う?
第1選択薬としては、フルコナゾールなどの抗真菌薬を投与します。
重症例では、アムホテリシンBを使用します。
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看護師は何に注意する?
看護師はスタンダードプリコーションを徹底し、感染対策を厳重に行います。
肺クリプトコッカス症は、ハトやニワトリなどの鳥類の糞便が原因となるため、ペットや家畜として鳥類を飼育していないか聴取することが重要です。
免疫機能の低下した患者さんは重症化して髄膜炎を引き起こす可能性があるため、呼吸状態のみならず、意識状態の変動も留意して観察しましょう。
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肺真菌症の看護の経過
肺真菌症の看護の経過は以下のとおりです(表2-1、表2-2、表2-3、表2)。
表2-3 肺真菌症の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社