経皮的血管形成術(PTA)
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は経皮的血管形成術(PTA)について解説します。
湯浅 雪
新東京病院看護部
〈目次〉
経皮的血管形成術(PTA)はどんな治療?
経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty;PTA)は、下肢動脈や鎖骨下動脈、頸動脈や腎動脈、透析シャントなど末梢動脈の狭窄や閉塞に行う治療です(表1)。
PTAも経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と同様に、バルーンのみで拡張するバルーン治療(POBA)、バルーンで狭窄部位を拡張した後にステントを留置するステント治療、硬くなった石灰化病変を破砕するアテレクトミー治療(例:クロッサーシステム)、血栓性の病変に対する血栓吸引療法など、病変に合わせたさまざまな治療法があります。
急性下肢虚血(ALI)に対しては、緊急で治療を行う必要があります。
末梢動脈の拍動が触知できない場合、ドプラ血流計で血流音を聴取できる場合があります。
合併症には何がある?
PCIの合併症と同様に、さまざまな合併症のリスクがあります。
看護師は何に注意する?
後腹膜出血の有無
PTAにおいて後腹膜出血は重篤となる場合があります。後腹膜出血は、体内での出血であり、止血が困難なため、容易にショックへ陥ることがあります。顔色不良となり、腹痛や血行動態の変動が認められ、輸血やバルーンによる止血、外科的処置が必要となる場合もあります。
文献
- 1) 山名比呂美:特集 60問トライアル ハートナース検定.ハートナーシング 2016:29(12):40-41.
- 2)循環器用語ハンドブック:僧帽弁閉鎖不全[症].(2020.01.10アクセス)
- 3)日本循環器学会:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版).(2019.09.01アクセス)
- 4)齋藤滋監修,高橋佐枝子,島袋朋子編:やさしくわかる心臓カテーテル 検査・治療・看護.照林社,東京,2014.
- 5)尾辻豊:心臓弁膜症・心内膜炎.医療情報科学研究所編,病気がみえる vol.2 循環器 第4版,メディックメディア,東京,2017:202-230.
- 6)長沼亨:弁膜症 実地医療で実践すべき診療のプロセス弁膜症 実地医家が知っておくべき現代の弁膜症 経カテーテル僧帽弁逆流症治療MitraClipとは.Medical Practice 2017;34(12):1999-2005.
- 7)高谷陽一,赤木禎治:はやわかり! Amplatzerの実際と必要な看護.ハートナーシング 2015;28(7):710-712.
- 8)日本メドトロニック株式会社:ペースメーカって、何ですか? 2013年12月改訂版.(2019.09.01アクセス)
- 9)吉川糧平,岡村篤徳,南口仁 他:第6章 心臓カテーテル治療.粟田政樹,田中一美編,はじめての心臓カテーテル看護 -カラービジュアルで見てわかる!.メディカ出版,大阪,2013:65-87.
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社