成人用と小児用の輸液セットがあるのはなぜ?|点滴静脈内注射

 

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は輸液セットの使い分けに関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

成人用と小児用の輸液セットがあるのはなぜ?

成人と小児では血管の太さが異なり、循環する血液量にも大きな差があります。成人用の輸液セットを小児に用いると、一度に多くの薬剤が入りすぎてしまうため、成人用と小児用の2 つの輸液セットを使い分けます。

 

通常、成人に用いられるのは点滴筒の大きなセットで、20滴で1mLの輸液が滴下(てきか)するようになっています。

 

一方、小児用の輸液セットは微量輸液セットとも呼ばれ、60滴で1mLの輸液が滴下します。

 

誤って小児の点滴静脈内注射に成人用のセットを用いてしまうと、3〜4倍の薬液が体内に入ることになってしまいます。セットの包装に記されている滴下係数(てきかけいすう)を確かめることが大切です。

 

 

memo輸液セット変更の計算式

成人用輸液セット(20滴/mL)から小児用(微量用)輸液セット(60滴/mL)に変更する場合には、1分間の滴下数の設定を変更しなければなりません。例えば、成人用輸液セットで5滴/分にて滴下している場合を小児用輸液セットに替える時には、次のように考えます。
成人用輸液セットで1分当たり5滴をmLに換算すると、1mLが20滴なので5/20(mL/分)になります。これを小児用輸液セットの滴数に換算すると、1mLが60滴であるため、60(滴/mL)×5/20(mL/分)=15(滴/分)になります。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ