患者の膝が崩れないようにするのはなぜ?|車いすへの移乗
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は患者の車いす移乗に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
患者の膝が崩れないようにするのはなぜ?
ベッド上端座位の姿勢で浅く腰掛けた患者を車いすに移乗させる場合、患者の膝が崩れるとバランスを崩しやすくなるからです。
特に、下肢に麻痺がある患者では、介助者に体重を預けていても、膝が崩れることがあります。
介助者がバランスを崩さずに移動を行うにはいくつかの方法があります。その1つが、介助者の両膝で患者の膝をはさむ方法です。介助者は患者にできるだけ近づき、膝を曲げて腰を下ろしぎみにし、両膝で患者の膝をはさんで支持しながら移乗させます。
「さあ、立ち上がりますよ」と声をかけ、膝を足ではさんだまま後方に反るようにして患者を引き上げます。この時、介助者が腋を締めて患者の腰部に腕を密着させると、患者の重みを支えやすくなり、安定した立位を保つことができます。
この方法以外に、介助者の足を患者の足の間に入れ、車いす側の自分の足で患者の足をブロックしながら膝の崩れを防ぐやり方もあります。
また、介助者の膝を患者の膝下に当て、そこを支点にして患者を介助者の後方に引くようにして移動させる方法もあります。
患者の身体条件を考慮し、より安全な方法を用いるようにします。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版