血液型検査 | 検査値早わかりガイド

看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。
今回は、血液型検査について解説します。

 

江口正信
公立福生病院部長

 

〈目次〉

血液型検査の定義

通常、血液型の検査を行う場合は、ABO式、Rh式の両方をセットで検査する。検査は、血液中の赤血球上の抗原を調べる「おもて試験」と、血清中の抗体を調べる「うら試験」を行い、両方が一致することで血液型が判定される。

 

ただし、生後1年に満たない乳児では、抗体価が弱いこともあるため、おもて試験のみを行い、通常1歳を過ぎてから再度検査を行う。

 

 

血液型検査の異常とその原因

表1ABO 式血液型で「おもて試験」と「うら試験」が一致しない原因

 

 

血液型検査に関わる看護のポイント

輸血時の注意点

  1. 輸血を行うことが決定したら、医師からあらかじめ患者または家族にその必要性、輸血の種類・方法について十分説明がされたか確認し、不安の除去に努める。輸血同意書をとる。
  2. 実施前には、医師と看護師は必ず交差適合試験用紙との照合を行う。このときはお互いに声を出し、血液型、氏名、血液製剤番号、有効期限を読み合わせる。血液型の確認は、患者の血液型記載伝票で行う。
  3. 保存血は加温しない。
  4. 実施時、看護師2人で患者のもとに行き、必ず声をかけ、氏名、血液型が間違いないことを確認する。
  5. 速度は開始後15分くらいまでは20滴/分くらいとし、副作用のないことを確認したうえで、40滴/分くらいにする。実施中は頻回に訪室し、観察・記録する。
  6. 副作用に対しては、以下の処置をとる。
    • 血管痛や悪寒のある場合は、温罨法や輸血している部位の上部に温湿布を行ってみる。
    • 瘙痒感や蕁麻疹がみられた場合は、ただちに医師に報告し、指示により抗ヒスタミン薬、抗プラスミン薬を注射する。
    • 開始後数分で悪寒・戦慄を伴う発熱、呼吸困難、胸内苦悶、冷汗などの症状を少しでも認めた場合は、すぐに中止し、医師に連絡して指示を受ける。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信/2014年3月刊行/ サイオ出版

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