離床センサーやマットは何を基準に使用を決めるの?|転倒予防グッズの選択基準
『エキスパートナース』2015年9月号<根拠に基づく転倒予防Q&A>より転載。
離床センサーやマットは何を基準に使用を決めるの?について解説します。
安積喜美代
国立病院機構東名古屋病院看護部外来看護師長
離床センサーやマットは何を基準に使用を決めるの?
〈目次〉
はじめに
本コラムでは、転倒予防に一般的に紹介されている製品の“選択のポイント”を紹介します。
また、「転倒防止対策アセスメント表」に「認知症の程度」を軸として、「患者像・目標・説明の内容」などを示すとともに、「どのセンサー・外傷予防グッズ」を用いるかの“選択基準”を示します(表1)。
離床センサー類は「報知のタイミング」で決める!
患者がベッドを離れ、病室の床に着地したことを知らせる離床センサーは、それぞれに報知のタイミングが異なります。
表2にその設置場所とタイミングを示します。
比較的歩行や座位が安定している患者には、「床センサー」をベッドサイドや病室から外に出る通り道に使用しています。
患者の起き上がりをできるだけ早く知りたい場合や、転倒・転落の危険性が特に高い場合には「離床センサー」を選択します。
一方で、床センサーを避けてしまう個室の患者には「赤外線センサー」を、離床センサーではふだんの体動でも鳴ってしまうような患者には「クリップセンサー」が有効だと考えます。同じくふだんの体動で離床センサーが鳴ってしまう場合や起き上がりのタイミングで鳴らしたい場合は「柵センサー」が有効です。
このように患者の行動パターンを把握し、どのタイミングで報知させたいかを考え、センサーを選択しましょう。なお、いずれの場合においても入/切スイッチは患者の目の届かない場所に設置することが望ましく、またON/OFFの状態をカードで表示するなどの工夫でスイッチの入れ忘れを予防しましょう。
外傷予防グッズなどの用品は「安全と快適感のバランス」で決める!
センサー類に加え、患者が万が一転倒したときの負傷を予防・軽減する外傷予防グッズ(表3)も積極的に活用しましょう。
これらを選択する際、“安全第一”に意識が向きすぎるあまりに窮屈さを強いてしまう可能性があります。患者の生活そのものが味気ないものにならないよう、注意して対策を実施しましょう。
[参考文献]
- (1)三宅祥三 編:実践できる転倒・転落防止ガイド.学研メディカル秀潤社,東京,2007.
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2015照林社
P.101~104「離床センサーやマットは何を基準に使用を決めるの?」
[出典] 『エキスパートナース』 2015年9月号/ 照林社