十分に水分を拭き取るのはなぜ?|清拭

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は清拭時の水分の拭き取りに関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

十分に水分を拭き取るのはなぜ?

清拭は、入浴に比べればほとんど皮膚に水分は残りませんが、入浴ほど皮膚が温まりません。そのため、ほんのわずかであっても皮膚を濡れたままの状態にしておくと気化熱によって体表面の温度が下がり、寒気を感じます。拭き終わった部位は、速やかに水分を拭き取ることが大切です。拭き取りには乾燥したタオルを用います。

 

50名の健常被験者について遠藤らが行った研究1)によれば、清拭直後に水分を拭き取ることで皮膚温の上昇が速まり、60秒後から180秒の間は、拭き取ったほうの皮膚温が高いという結果が出ています。

 

また、水分を拭き取った後は、速やかに綿毛布をかけて保温することも必要です。同研究によれば、体温の保持に最も有効なのは、清拭後30秒以内に被覆することだといいます。

 


[引用・参考文献]

 

  • (1)遠藤芳子他:温湯清拭による前腕皮膚温変化の測定—清拭直後に乾布で 水分を拭き取る科学的意義—、山形保健医療研究、2 、p 41 - 44 、1999

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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