加温加湿は、なぜ必要?|人工呼吸ケア
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「加温加湿管理」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
加温加湿は、なぜ必要?
人工気道が留置されていると、加温加湿機能を果たす上気道がバイパスされ、乾燥したガスが加湿されずに肺に到達し、弊害を起こすためです。
〈目次〉
加温加湿管理
生理的な気道の温度・湿度を図1に示す。
人工呼吸器から乾燥したガスが上気道に送られると、気道の水分が奪われ、気道粘膜の乾燥・損傷、線毛運動低下、痰の乾燥・固形化、痰によるチューブ閉塞などが生じる。
人工気道が留置されていると、加温加湿機能を果たす上気道がバイパスされ、乾燥したガスが加湿されずに肺に到達して弊害を起こすため、加温加湿が必要となる。
絶対湿度と相対湿度
絶対湿度は「一定の体積に含まれる水の量」、相対湿度は「飽和水蒸気量に対する空気中の水蒸気の量の割合」である。
飽和水蒸気量は、温度が上がるほど増加する。つまり、絶対湿度が同じでも、温度が上がれば相対湿度は下がる。
結露が生じている場合、回路中の相対湿度は100%である。
Column:絶対湿度と相対湿度って?
絶対湿度は、1L中の空気中に溶け込む水分の量を示す(図2)。温度によって溶け込む水分の量は異なり、温度が高くなると溶け込む水分の量も増加する。
相対湿度は、空気中に含まれる水分の比率を表す(図3)。
絶対湿度をバスの乗車定員に例えると、相対湿度はバスに乗っている乗客の数を比率で表したものと考えられる。例えば37℃のときは、バスの乗車定員は44人、そのバスに44人乗っていると100%、22人乗っていると50%、11人乗っていると25%となる。
(春田良雄)
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社