術前の臍処置はそれほど必要ないって本当?どのように行う?
『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「臍処置」に関するQ&Aです。
栗原重明
大阪市立総合医療センター臨床教育研修部(外科系)
日月亜紀子
大阪市立総合医療センター消化器外科医長
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長
臍処置はそれほど必要ないって本当?どのように行う?
いいえ、臍処置は必要です。
〈目次〉
臍処置はなぜ必要?
臍部には、皮膚に比べて皮膚常在菌がきわめて多く認められています。腹部手術では切開線が臍近くになることや皮膚縫合線が臍にかかることもあり、また最近では臍そのものを切開することもあり、創感染予防のために必要です。
臍処置群、臍処置なし群の臍部の細菌培養検査を行ったところ、臍処置群で消毒後の細菌コロニーの減少数が大きく、臍処置には細菌除去効果があることが示されました。また、消毒効果を菌種別に見たところ、コロニー数の少なかった臍処置群のほうが消毒効果が高いという結果でした。
臍処置はどのような方法で行う?
臍処置では、臍周囲の除毛を行い、オリーブ油を綿棒に含ませ臍垢を除去し、次に10%石けん水を浸した綿棒で臍部の油分を取り除き、さらに乾燥綿棒で水分を拭き取ります(図1)。
しかし、臍の形態は個人差が大きく、臍垢を確実に取り除くことが困難な場合があります。また、処置のやりすぎにより皮膚上皮を傷つけてしまい細菌培養の培地となってしまう可能性があるため、注意が必要です。
処置時期については一般的には手術前日に行われていますが、処置後経時的な細菌数の変化を見た報告によると、術前4時間以内に行うことが有効ともいわれています。
臍を切らない手術の場合にも臍処置は必要なのですか?
その場合、臍処置は不要です。
[文献]
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社