Q & Aでわかる 看護師が処分の対象になる行政処分
看護師さんにとって、医療事故や医療訴訟は決して他人事ではありません。
第1話と第2話では、「患者さんを取り違えた事例」を元に医療事故の対応方法や、看護師が知っておくべき医療に関する法律について、解説してきました。
ここでは、看護師の皆さんが、法律について疑問に思うことをQ & A(Question & Answer)形式で解説します。
第3話は、「看護師が処分の対象になる行政処分」についての「Q & A」です。
大磯義一郎
(浜松医科大学医学部「医療法学」教室)
実際の医療事故をもとに、事故の対策・予防や、法律について解説してきましたが、大切なポイントは覚えていただけましたか?
はい。医療事故を防ぐためには、コミュニケーションだけじゃなく、職場環境の改善も大切なんですね。
看護師の法的責任もバッチリ覚えました!
すばらしい! それでは、ここで1つQuestionです。
看護師が行政処分されるのは、具体的にはどんな場合でしょうか?
本コラムで詳しく解説するので、みなさんも考えてみてください。
看護師が行政処分される場合とは?
どんなことをしたら、看護師は行政処分されるのですか?
処分事由は様々ですが、最も多いものは自動車運転に関するものです。
毎年15~20人程度の看護師が、行政処分を受けています。このうち、免許取消となる看護師が2~3人います。処分事由は、自動車運転に関するものが最も多いです。以下、窃盗、猥褻事犯、違法薬物と続きます。意外なことに、本文で述べたような医療事故による業務上過失致死傷罪で有罪となり、行政処分を受けた看護師は、直近の5年間では1人もいません(2016年7月現在)。
そのため、看護師の皆さんが、行政処分を受けないためには、人身事故を起こさないや飲酒運転をしないなど、自動車の運転に注意することが大切だと言うことができます。なお、看護師の行政処分は、毎年1回、医道審議会で審議されています。
また、保健師助産師看護師法(保助看法) 9条(図1)、および14条には、以下の処分事由が定められています。
図1行政処分事由
Point!
- 看護師としての日々の業務も大切ですが、自動車の運転には、特に気をつけよう!
[執筆者]
大磯義一郎
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 教授