腎臓のエコー像
画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、ナースが目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
[前回の内容]
今回は、「腎臓のエコー像」についてのお話です。
加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)
今回、紹介するエコー像は、腎臓です。
そういえば、腎臓って、消化器の臓器ではないですよね!
腎臓もエコーで見るんですか?
その通り! 腎臓は消化器の臓器ではありません。
しかし、実は、腎臓は腹部エコーで消化器と一緒に見ることが多いんです。
へぇ~、担当の科と違う領域の臓器でも一緒に見るなんて、覚えることがいっぱいありますね。
今は幅広く、色々なことを知っておかないとダメな時代ですからね。
ここで、正常な腎臓の代表的な画像を紹介しますので、ポイントだけでも押さえてください。
〈目次〉
腎臓
腎臓は消化器ではありませんが、腹部エコーで一緒にスクリーニングすることが多い臓器です(図1)。
図1腎臓の位置
腎臓から出た尿管は、膀胱、尿道へとつながります。これら4つの組織(腎臓、尿管、膀胱、尿道)をまとめて、「尿路」と呼びます。
腎臓のエコー像
ここで、腎臓の代表的なエコー像とシェーマ像を紹介します(図2)。
図2腎臓のエコー像とシェーマ像
右の腎臓と肝臓の間の空間は、モリソン窩(Morrison's pouch)と呼ばれています。
モリソン窩は、患者さんの腹腔内に、腹水や腹腔内出血などの液体が存在する場合、患者さんが仰臥位になると、液体が溜まりやすくなる空間のことです。
Check Point
- 腎臓は、腹水や腹腔内出血などが溜まりやすく、スクリーニングすることが多い臓器です。
[次回]
- 病棟や外来で使用するエコー機器
- エコーの性質と特徴
- 肝臓と胆囊のエコー像
- 膵臓と脾臓のエコー像
- ⇒『初めてのエコー(超音波)検査』の【総目次】を見る
[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科
Illustration:田中博志