採血は運動・入浴直後は避けたほうがよいのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は採血に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
採血は運動・入浴直後は避けたほうがよいのはなぜ?
運動および入浴により、血液内の物質に変動をきたすためです。
運動や入浴による血液への影響は
運動や入浴後は、血清タンパクの上昇がみられます。また、激しい運動による影響として、筋肉の乳酸、ピルビン酸、無機リンの生成と酵素〔LDH、CK、AST(GOT)〕の遊出による血中濃度の上昇がみられ、反対に血糖、中性脂肪などの減少が起こります。
これらの変動の程度と持続は、運動の強度と持続時間および個人差などによってもかなりの相違がありますが、前日ないし前々日行なったスキーや水泳のような激しい負荷の影響が残っていることもあります。したがって、現実には安静時採血を行なうことにより、運動などによる影響をなるべく除外することが必要です。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版