吸入時にマウスピースをくわえて軽く口を閉じ、ときどき深呼吸するのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は吸入と吸引に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

吸入時にマウスピースをくわえて軽く口を閉じ、ときどき深呼吸するのはなぜ?

 

より効果的な吸入を期待したいからです。

 

〈目次〉

 

マウスピースをくわえて軽く口を閉じるのは

吸入薬液を効果的に気道に誘導するために、吸入時にはマウスピースをくわえて軽く口を閉じさせます。口を大きく開けると、室内の空気もあわせて吸気することになり、薬液の効果が低下しますし、舌根も盛り上がり粒子の通りも悪くなります。

 

反対に硬く口を閉じると、マウスピースを把持するだけで疲れてしまい、息を詰めた状態になるのでゆっくりした深呼吸をすることはできません。口を軽く閉じることによってマウスピースと口唇の間にわずかな隙間ができて、流入速度を維持することができ、粒子を気道の目的とした部位へ深く吸入することができるのです。

 

携帯吸入器の種類

薬剤を気道に直接吸入するための携帯できる吸入器には、定量噴霧式吸引器(MDI)とドライパウダー式吸入器(DPI)があります(図1)。

 

図1MDIとDPI

 

  1. 吸入前は姿勢を正し、顔まっすぐ前に向けます。
  2. MDIは、加圧ガスが入った携帯式カートリッジを装着し、この圧力によって、一定量の薬を含んだ細かい霧が出る仕組みになっています。カートリッジ内の薬物を均一に混ぜるために上下に振ります。患者さんは軽く息を吐き出し、舌を下げて咽頭を広げた状態にします。
    そして、息をゆっくり吸い込みながら噴霧のボタンを押します。DPIは、吸入器を水平に持ち、吸入口を軽くくわえます。粉末の薬物を自分の吸気によって吸入する仕組みであるため、口から速く深く息を吸い込みます。2~3秒ほど息を止め、ゆっくり吐き出します。
  3. 吸入後は、含嗽を行います。使用の際、MDIは吸入のタイミングが合わなかったり、DPIは吸入器によって操作が異なったりするため、適切に自己管理ができるように指導しましょう。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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