便意をもよおすのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は便意に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
便意をもよおすのはなぜ?
直腸内容物である糞便の貯留により、直腸内圧亢進による刺激が便意を感じさせるためです。
〈目次〉
糞便が直腸まで到達するには
糞便は、普段は下行結腸からS状結腸に停滞しているため、直腸までは到達していません。これは、S状結腸と直腸の境の輪状筋の収縮により内腔が閉ざされ、糞便の通過を防いでいるためです。
糞便自体の重さにより直腸内へ入ってくることもあれば、食事をとることによって、横行結腸からS状結腸にかけて胃―結腸反射とよばれる強い蠕動運動が起こり、直腸へ送られることもあります(図1)。
便意を起こすのは
このようにして直腸に糞便がたまり、直腸内圧が40~50mmHg以上になると、直腸壁に分布している骨盤神経が刺激され、その興奮が第3~4仙髄にある排便中枢に伝えられます。さらに、そこから視床下部を経て大脳皮質の知覚領に入り、いわゆる便意を起こします。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版