血圧測定時、予測される収縮期より30mmHgくらい加圧して測定するのはなぜ?

 

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は血管音の測定に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

血圧測定時、予測される収縮期、または触診法で得た値より30mmHgくらい加圧して測定するのはなぜ?

 

上腕動脈の血流を完全に止めて、最高血圧時の血管音を正確に聴取するためです。

 

〈目次〉

 

血圧測定時、血管音が聞こえるのは

上腕にマンシェントを巻いて圧迫すると、やがて上腕動脈はぺしゃんこにつぶれてしまいます。このとき、上腕動脈の血流は完全に止まっています。次に、ねじを緩めて少しずつ空気を出し圧迫を解いていくと、ある時点からまた血液が流れ始めます。このとき血管はまだほんのわずかしか開いていないので、狭い血管を血液が無理に通るときに音を発生します。

 

この血管音のことを発見者の名にちなんでコロトコフ音といいますが、この音は血管がもとの太さに戻る直前まで続きます。音が発生するのは血流の渦巻きや血管壁の振動などによるとされています(図1参照)。

 

図1血管音の相

血管音の相

 

血管音を聴取しやすい方法は

スワン(コロトコフ)の第1点は、収縮期圧最大血圧)を示しているわけですが、突然聞こえてくる音なので、予測される収縮期の血圧よりやや加圧したほうが、聴きとりやすいわけです。

 

しかし、加圧しすぎると静脈血のうっ滞が起こり、血圧が高く出ることがあるので注意が必要です。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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