状況設定問題（180問）　産褥期の看護

第104回改変午後107問

次の文を読み問題2に答えよ。
Aさん（30歳、経産婦）は、妊娠40週1日で、妊娠経過は順調であった。本日、午後5時に体重3,900gの女児を正常分娩した。会陰縫合術を受け、分娩時出血量は400mLであった。分娩後2時間のバイタルサインは、体温37.1℃、脈拍64/分、血圧124/70mmHgであった。排尿後の子宮底の位置は臍下1横指、収縮良好で帰室した。Aさんは午後8時に夕食を全量摂取し、寝るまでに水を500mL飲んだ。

問題2
産褥2日の午前10時。Aさんは「9時に排尿したとき、3cm大の血の塊がでました。大丈夫でしょうか」と訴えた。このとき、体温37.3℃、脈拍60/分、血圧120/64mmHgであった。子宮底の位置は臍高で軟らかく、後陣痛は増強している。乳管口の開口数は左右3本ずつで初乳がみられ、乳房の発赤、硬結および熱感はない。

Aさんの状態で最も疑われるのはどれか。

1.　産褥熱
2.　乳腺炎
3.　子宮復古不全
4.　妊娠高血圧症候群

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解答・解説

1.　産褥熱: 産褥熱とは、分娩後24時間以後産褥10日までに、2日以上にわたり38℃以上の発熱をきたすものである。原因は主に分娩時に生じた傷からの感染である。現在、Aさんのバイタルサインは正常であり、産褥熱ではない。
2.　乳腺炎: 乳腺炎には、うっ滞性乳腺炎と、急性化膿性乳腺炎がある。一般的にうっ滞性乳腺炎は産褥1週間以内にみられ、急性化膿性乳腺炎は産褥2～3週ころに多くみられる。乳腺炎の症状としては、乳房の発赤、硬結、褥婦の発熱などであり、Aさんは現在乳房の発赤や硬結もなく、乳腺炎ではない。
3.　子宮復古不全: 子宮復古不全とは、子宮収縮不良のために産褥の子宮収縮・復古が障害される状態である。主な原因は卵膜や胎盤が子宮内に残留している場合である。Aさんの子宮底の高さは臍高であるが、一般的に産褥2日は臍下2横指である。硬さも軟らかいことや3cm大の血の塊がみられていることから子宮復古不全の状態であるといえる。
4.　妊娠高血圧症候群: 妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧を認めた場合であり、妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧、加重型妊娠高血圧腎症、高血圧合併妊娠に分類される。妊娠高血圧（GH）は、妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し、分娩12週までに正常に戻るもので、妊娠高血圧腎症に当てはまらないものである。収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上のいずれかにあてはまる場合であるが、Aさんの血圧は正常である。