状況設定問題（180問）　産褥期の看護

第102回午後112問

次の文を読み問題1に答えよ。
Aさん（38歳、初産婦）は、妊娠38週3日に2,900gの女児を正常分娩した。出産前は、Aさんは夫と2人で暮らしていた。引っ越して3か月であり、周囲に親しい知り合いや友人はまだいない。

問題1
産褥3日。子宮底の高さは臍下3横指にあり硬度良好であった。乳房は軽度緊満しており、乳汁分泌がみられる。体温37.0℃、脈拍76/分、血圧124/72mmHgであった。訪室時、Aさんは「体がなんとなくだるいです。理由もないのに涙が出てきます」と涙ぐんでいた。

Aさんの状態として考えられるのはどれか。

1.　産褥熱
2.　高血圧症
3.　産後うつ病
4.　マタニティブルーズ

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解答・解説

1.　産褥熱: 産褥3日の子宮復古の状況は、悪露に関する記述はないが、子宮底が臍下3横指、硬度良好であることから、良好であると考えられる。産褥熱は、分娩後24時間以降産褥10日以内に、2日以上にわたり38℃以上の高熱が続く状態をいう。原因は産褥期の胎盤や卵膜遺残、悪露の停留などによる子宮内感染である。現在のバイタルサイン、子宮復古状態から産褥熱は否定される。
2.　高血圧症: 2018年から妊娠高血圧症候群の定義・分類が変更された。妊娠高血圧症候群における高血圧の定義について、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上の場合、高血圧と診断するとしている。Aさんの血圧値124/72mmHgは高血圧にはあてはまらない。
3.　産後うつ病: 産後うつ病は、産後2～4週間後にみられる抑うつ症状である。一般的なうつ病と同様であるが、産後うつ病の危険因子として、ソーシャルサポートの欠如、育児不安などがある。
4.　マタニティブルーズ: マタニティブルーズは、産後3～5日ころから10日ころまでに生じる。抑うつ気分や涙もろさなどを症状とする、一過性の状態である。「悲しくないのに涙が出る」など、理由もなく泣いたりする。Aさんはマタニティブルーズの状態であると考えられる。