状況設定問題（173問）　精神疾患・障害の特徴と看護

第110回午前113問

次の文を読み問題2に答えよ。
Aさん（19歳、男性）は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害〈ADHD〉と診断された。

問題2
診察後、Aさんの両親は「親としてどうしたら良かったのでしょうか、私たちの育て方に問題があったのでしょうか」と外来看護師に話した。

このときのAさんの両親への対応として適切なのはどれか。

1.　「Aさんは育てにくいお子さんでしたね」
2.　「職場の環境が悪かったことが原因です」
3.　「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」
4.　「もっと早くAさんの問題に気が付けばよかったですね」

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解答・解説

1.　「Aさんは育てにくいお子さんでしたね」: 両親にとって「育てにくい子ども」だったかもしれないが、問題文から読み取れないうえ、外来看護師がかける言葉として適切ではない。
2.　「職場の環境が悪かったことが原因です」: Aさんは診断を受けていない状態で仕事をしており、職場内の理解が足りなかったと考えられる。Aさんの障害について理解しながら合理的な配慮（職場環境の改善）をしていれば、欠勤状態にはならなかったかもしれず、職場の環境が悪かったと断定してしまうのは適切ではない。
3.　「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」: Aさんの発達の障害であるため、両親の育て方が主な問題ではないと思われ、外来看護師の対応として適切である。ただし、育てにくさから育て方にすれ違いが起こり、発達面の問題が起こることもあるため注意する。例えば虐待による不適切な養育が原因でADHD的な症状を呈する場合がある。
4.　「もっと早くAさんの問題に気が付けばよかったですね」: ADHDは幼児期からその状態が現れるため、早期発見・早期介入ができれば周りの理解が得られ、こうしたトラブルは起きなかったかもしれない。しかし、外来看護師が両親にかける言葉として適切とはいえない。