ナースのチカラ~私たちにできること 訪問看護物語~【9-2】

ママナースもも子』でお馴染みの広田奈都美さんが描く、訪問看護師マンガ。

単行本9巻の発売を記念して、月刊誌『フォアミセス』より特別転載でお届けします!

師長の勤務を巡って対立する馬渕と持田。スタッフたちの選択は…(【9-1】はこちら

 

「私は師長がやりたいと言うならサポートしたいです。看護の現場にいたいというなら利用者さんに迷惑かからなければいいと思います。で馬渕さんも同じ意見ですか?違いますか?」と深原さんに問い詰められた馬淵さんは「…あ……私は」と戸惑いました。他のナースも「私も深原さんと同じ意見だわ。それに師長なら患者さんの側にいるだけでパワーを与えられる人だと思うのよ」「そう思います。“どう生きたいか”という願いを叶えるお手伝いをするのも看護師の仕事ですし…師長の思いを大事にしたい…お手伝いできるなら嬉しいです」といった声が挙がりました。

 

年次の低い花さんも「私も…師長には本当にお世話になったし…やれること…したいと思います」と言いました。幸代さんは「……私もお…同じです」としか言えず、(やだな…この中で一番稚拙な話してる私…20代の花ちゃんのほうが思いも熱いし意志を持ってる。だから娘とかにバカにされるのか…でも…本当にこれくらいしか思いつかない…)と思いました。「じゃあとりあえず皆賛成でいいですか?」持田さんが聞きました。

 

「はい…皆がいいならそれで…」馬淵さんは沈んだ表情で言いました。持田さんが「後でちょっと話そうか?」と聞いても「…いえいいです」とだけ言ってその場を後にしました。馬淵さんは訪問先に向かいました。「アラ今日は馬渕さんなのね?よかったケーキ焼いたのよ」と家の人が優しく迎えてくれました。

 

「あぁーーそうなんですね…だからいい香りがするんですね」と馬淵さんはさっきまでの出来事を引きずらず、笑顔が多めの仮面をつけて訪問しています。しかし、深原さんはそんな馬淵さんを見て、「なんか貼りついた笑顔ですね」と言いました。馬淵さんがじとっと見ますが、深原さんは「でもそこがプロって感じです。馬淵さんは正直なので見ていて安心します」と言いました。

 

馬淵さんは「…いいよそんな…ゴマすらなくても。朝のこと悪かったって思ってるんでしょ?別に気にしてないしいいですよ…そんな励まし」と言いまいたが、深原さんは「…別に励ましてないですよ?」と言いました。「…じゃあ少しは悪いって思ってください」そう言って馬淵さんは患者さんと話し始めてしまいました。深原さんは言葉の意味が分からず「?」の表情を浮かべました。変わって幸代さんが訪問中のこと。乳がんステージⅣの福田さんが「へぇー幸代さんは50歳でナースになったの?」と聞きました。

 

幸代さんは「そうなんですよーだから実は新人なんです…スミマセン…」と言いました。福田さんは「謝ることないよーーいいよね 50歳で挑戦するって根性あるねーー」と言い、「いえいえ」そんな…と幸代さんが答えました。「でも どうして挑戦する気になったの?」「それは…訪問に来ていた看護師さんに勧められて…私 義理の母の介護をほぼ一人でやってたんです。どうせなら資格とりなさいって。介護士でもヘルパーでも良いかなって思ってたんだけどその人に憧れてナースに…」「それはすごく幸せなことだね…」

 

「挑戦できるってすごい事だよ…時間も体力も金銭もすべて整ってるって事じゃない…私無いもの」

 

「あでもねいいの気にしないで。落ち込ませるために言ったわけじゃないから。でも それはすごい事よ…私が幸代さんなら皆に自慢しちゃう」と福田さんに言われ、幸代さんは「…ハハハ…私よりすごい人はたくさんいるし…そんな……」と言いましたが、「そうじゃない。自分の事ほめていいんだよ、もっと。私だって抗癌剤ツライし仕事もできないけど…生きるために一生懸命やっててエライと思う。吐いたり髪の毛抜けたり体のあちこち癌できて痛かったりするけど生きてる」

 

「辛い人生だけど頑張ってる。悲惨なのに頑張ってるんだよ。あたしすごいと思わない?」福田さんにそう言われて、幸代さんは「すごいと………思います」と言い、福田さん「じゃあ同じように幸代さんも自分の事思ったら?」と返しました。

 

「私ね 夫がDV夫で離婚して子供いないし仕事もうまくいかなかったしクソみたいな人生の割に友人や親に恵まれてラッキーだと思ってるよ。幸代さんももっと自分をほめたらいいよ…!!謙遜なんてせずもっと自慢していいよ」福田さんにそう言われ、幸代さんは泣きながら「………クソみたいな人生ですけど…」と言いました。「いいんだよ!!もっと自信もって」「患者さんに励まされて…私が逆に励まさなくてはならないのに…」と泣いてしまった幸代さんは言いましたが、福田さんは気にせず「やだねぇ立場は忘れて!!私だってこんな病人なのに人を励ましてる場合じゃないのに…こんな事言えて嬉しいよ」と言いました。福田さんと話した後、幸代さんの頭に浮かんだのは、(離婚しよっかな…)ということでした。
※表現の都合上、マスクなどの描写を省略している部分があります。

【3】に続く

 

 

 

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

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