【マンガ】大切な人が死ぬとき~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~(12)

緩和ケアの現場が舞台のマンガ、期間限定の出張連載です(前のお話はこちら)。

患者さんから“重い話”を打ち明けられたとき、あなたならどうする…?

 

薬も使えず、医療行為が何もできなくなったとき、患者さんに対して周りの人は何ができるだろうか。緩和ナースの木下さんは、「お身体お拭きしますね」と患者さんの部屋へ行きました。『体調悪いようだし、なるべく短時間で済ませなきゃ』と患者さんの背中に触れると、患者さんが

 

 

「あんたの手あったけぇなぁ…」と微笑みながらつぶやきました。そして、「オレ…昔はトラックのドライバーをやってたんだ。でも糖尿をやって資料が悪くなっちゃって、仕事もできなくなって、本当はあのとき死んでた方がよかったんだ。」と話しはじめました。看護師たちはただ聞くことしかできません。

 

 

「生きていくのはつらいなぁ…。」とこぼす患者さんの言葉を聞いた後、、ナースステーションへ戻る途中、同僚が「重いこと聞いちゃいましたね。」と言いました。木下さんは、「そうかな、今がとてもつらい、ことを伝えてもらうことができてよかった。正直な気持ちを言葉にできたことは大きな癒しになると思う。」と言いました。正直な気持ちは、本来の自分を取り戻すきっかけになることもあるのです。

 

 

また肝硬変の音川さんの場合。音川さんは、5年間ベッドで寝たきりの状態が続いていました。看護師が病室へ行っても、「痛えんだよ!触んな!」と怒りをぶつけられ、看護師の足も遠のいていきました。困った医師と看護師が木下さんのもとへ、「緩和ケアで何かできることはないか」と相談に来ました。

 

 

音川さんの症状を見て、『むくみを劇的によくすることはできないけど、保湿するだけでも和らぐかもしれない。』とアロママッサージを行うことにしました。木下さんは音川さんのパンパンに腫れた腹部にオイルを塗り、優しくマッサージし始めました。しばらくすると音川さんは、涙を流しながら「結婚もしてないし、情けないよな。両親は死んでいないけど、今の姿を見たら笑われてしまう。」と気持ちを話しはじめました。

 

 

音川さんはそのまま眠ってしまいました。翌日、医師と看護師は「彼喜んでたよ。やり方を教えてください!」と木下さんのところにやってきました。「マッサージしなくてもいいんです。触れて人がそばに居るだけで癒やされます。」と木下さんはアドバイスしました。そんなときのことを振り返り、「普通の診療科の医療者にとっては忘れられているようなことも緩和ナースはやっていく。そこに「居て」「触れる」ことは、言葉よりダイレクトに伝わるものがある。そう考える木下さんなのでした。

(閲覧期限なし)

第13話は、1/22(水)公開予定です。

 

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【著者プロフィール】

水谷緑(みずたに・みどり)HP

水谷緑

著書は「コミュ障は治らなくても大丈夫」(吉田尚記、水谷緑)「まどか26歳、研修医やってます!」「あたふた研修医やってます。」(KADOKAWA) 他。小学館「いぬまみれ」にて犬漫画「ワンジェーシー」連載。

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