【マンガ】それでも看護をする理由~Case.1 はづき~(6)

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リーダーの日野に自分の心情を話した稲本はづき。
その後、はづきにも病棟にも変化があらわれて…

 

患者さんからのセクハラに関する聞き取り調査も何度か行い、上司からはカウンセリングも進められました。調査を終え、部屋と出ようとすると、師長に「稲本さん」と声をかけられ、「私も昔経験あるわ。」と打ち明けられました。

「つらかったわね。」そう言ってくれた師長に御礼をして部屋を離れました。職場のスタッフたちは、「今日きたアンケート見た?あれって全病棟?」「ハラスメント対策委員会できるらしいよ。」「ちゃんと機能するのかな…」と今回の事件をきっかけに動き始めた制度のことでもちきりでした。

リーダーの日野さんに打ち明けたあの日、日野さんは夜勤明けで師長への報告に付き合ってくれました。その日を境に病棟の空気も少しずつ変わり始めました。私はというと…

田中さんから受けた傷も治り、つけていた絆創膏はゴミ箱へ捨てながら、今回のことは自分ひとりで抱えきれることではなかったんだと起こったことの重みをかみしめていました。同僚からは「だから私やった方が早いんだって」と任されないこともありますが、「じゃあ小田さんのやり方教えてください。今時間あるので一緒にお願いします。」と食い下がりました。

「稲本、アンタ嫌味言ってるつもり…?」と怪訝そうな顔をする先輩に、「嫌味じゃないです、実際処置が早いじゃないですか?」と正直に伝えました。日野さんには、「病棟の空気に押しつぶされそうになっても、言葉を飲み込む必要はないんだよ。」と教わりました。

「自分の想いを伝えれば、もっと看護は楽しくなる。」そう言ってくれたのです。私は、廊下で日野さんを見つけたので、駆け寄って「今日予定あります?」と尋ねました。

 

「ご飯行きませんか?お礼です。色々助けていただいたので。」と提案しましたが、「いーよ、そんなの…」と断る日野さんの言葉を遮り、「よくないです!それにまた…ちょとっと話を聞いてもらえたらなって。」と伝えました。

了承した日野さんと歩きながら、「何食おうかなぁ、やっぱり米?」「だから名前は…。まぁお米は好きですけどね!」と他愛もない話をしました。看護師に向いているか、まだわからない。それでも私は看護を続けてみようと思うはづきなのでした。~Fin~


 

【マンガ:小暮さきこ】

漫画家・デザイナー。

2008年に漫画家デビュー。

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原案:坂本綾子(看護roo!編集部)

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