【マンガ】それでも看護をする理由~Case.1 はづき~(4)

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稲本はづきの様子がおかしいと気づいたリーダーの日野。

その後、夜勤のシフトが一緒になったとき…。

数日後の夜勤の日、私は制服に着替えながら『そういえば今日の夜勤、日野さんと一緒だ…』と以前やりとりした会話を思い出して言いました。あの時、『他にも何かあるでしょ?』という質問には、「何もないですよ…」とはぐらかしましたが、今思うと『なにか勘ぐってたな…』と思いました。

腕にはまだ以前田中さんから受けた傷がありました。『嫌だなぁ…。バレたのかな…。』と思いながら、夜勤の申し送りへ向かいました。私が仮眠をしていると、「タッタッタッタッ」と誰か仮眠室へと走ってきました。

 

「稲本さん、仮眠中にすみません!ちょっと手一杯になっちゃって。」という同僚に起こされ、立ち上がろうとしたところに日野さんもその場にきました。「俺は入院の方退院するから…稲本さん……」と指示を受けたましたが、以前言われた『他にも何かあったでしょ』という言葉をまた思い出し、日野さんからの指示が聞こえなくなりました。

「稲本さん!大丈夫?」と名前を呼ばれハッと我に返り、フォローをするために現場へ向かいました。『何もなかった。何も…』と日野さんからの質問に心の中で答えながら。するとどこからか、『嘘つき』という声が聞こえました。

それはもうひとりの私でした。『あったよねぇ?あったでしょ…』と走っている私のそばでそうつぶやきました。私はふいに、田中さんに制服の中に手を入れられたことを思い出してしまいました。もう1人の私は続けて、『死ぬほど嫌だったよね…。我慢して、我慢して…。』と不安を煽るように言いました。

 

田中さんからセクハラ受けた日、咄嗟にその手を叩いてしまうと、田中さんは「このっ…」と怒り、私の腕を乱暴に掴みました。腕の傷はその時についたものでした。もう1人の私が『行きたくないのは当然でしょう?自業自得だよね。』と囁きます。私は、「違う、そんなこと…」と否定しますが、『悪いのはアイツだよ』とまた囁かれ、「違う!!」と涙をこらえて声を荒げて否定しました。

 

動揺する私の耳元で、『何が違うの?本当の気持ち言ってみようか?』『あんな奴、死んで良か…』と笑って言うもう1人の私に耐えられず、私は泣きながら耳をおさえて「やめて!!!」と叫びました。うずくまっている私に気づいた日野さんは、「どうした!?」と駆け寄ってきました。

「大丈夫?体調が悪いの?」と近づいてきても、私は「すみません…すみません…」と泣きながら答えることしかできませんでした。日野さんは、様子がおかしいと判断して「…ステーションで休んでて。落ち着いたら声かけて。」と一言だけ言うと、現場のサポートへ向かったのでした。

【5】に続く

 

【マンガ:小暮さきこ】

漫画家・デザイナー。

2008年に漫画家デビュー。

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原案:坂本綾子(看護roo!編集部)

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