私なりの一年目の乗り切り方|マンガ・ぴんとこなーす【121】

4月から働き始める新人ナースのみなさん、入職おめでとうございます!
1年目はわからないことだらけで、今から不安でいっぱいのはず。
「どうやって仕事を覚えていけばいいの?」
「怖い先輩に目をつけられないためには?」
ナスさんが、1年目を乗り切るための心構えを伝授します。

其の一「物品の場所を覚えるべし!」。ナスさんの話を聞き、「帰ろうか…」と言い出す新人ナースを引き止めながら、「まずどんな病棟にいっても、いきなり患者さんを受け持ってもらうなど言われることはありえないわけです(あったらその病院からは逃げよう)。」と理由を話し始めました。

一年目の本当に最初の時期、新人はケアどころか搬送すら任せてもらえない病院もあります。先輩が忙しいと何もできず、患者さんに触れない新人は、クラゲの様になっている場合もあります。そこで、必要物品の場所を覚えておいてみましょう。そうすれば、必要な物品を持ってくることができる、先輩がやろうとしている処置が予測できる、そしていざ自分がケアに入る際、必要物品の準備がすぐできます!

もちろん最初は何に使うか分からない物品も沢山あります。そこで患者さんや先輩をしっかり観察してよく使うものをチェックしておきましょう。余裕ができたら知らない物品なんかを遠慮なく聞いて調べる!その姿勢を先輩も見ています。聞いたことはメモをとって、同じことを二度聞かないのは基本としましょう。物品を用意するスピードは処置のスピードにも繋がりますので、「物品が用意できる」=「ふだんからよく観察ができている」という評価にもなっていきます。

其のニ「愛され新人になるべし!」。それを聞いて、「私そういうのダメなんですー。顔も性格もキツいしー」と言い訳をする新人ナースの口を押さえながら、「誰が男ウケする女子になれといった、ここはまだまだ女社会だぞ!」と理由を語り出しました。

①あいさつ、返事は元気よく。②教えてもらったことはメモして二度聞かない。③知らない薬、初めて見るものは全部調べる。④初めての処置、ケアは積極的に関わる。「これだけできれば及第点です。」というナスさんに、さきほどの新人ナースが、「当たり前のことばっかじゃないですか?」と反論しました。

ナスさんは、「当たり前の事をなぜわざわざこの場で言うか…。継続できる人間がどれだけいるか、先輩は新人のことをよく見ているからごまかしは効かないのよ。」とつけたしました。最初はとにかく知らないことだらけ。メモしたことはまとめて毎日復習!先輩に聞かれて分らなかったことも、まとめたら後日必ず先輩に提出しよう。下手すれば、学生の時より勉強することもある。でも実際に見て触れる患者さんは情報の塊!何一つ無駄にしてはいけません。

「でもずっとは疲れちゃいますよ。私顔に出るタイプだし」と飄々という新人ナースに、「ま、その時はその時じゃない?」と笑っていいます。先輩も人間だから、「あ、はい。」と反応の薄い後輩より、「はい!分かりました!」と意欲的な方が色々教えたくなります。看護師さんの観察力を舐めちゃいけません。一見出来が悪くでも「頑張っているな」「やる気があるな」ってことはわかるものだから、どんな怖い先輩でも決して腐らず食らいつく!信用して貰えば、やらせてもらうことも増えるし、その姿勢は、先輩や患者さんにも絶対伝わるはず。

其の三「こわさを忘れるなかれ!」別の新人ナースが「え?それも普通のことですよね?学校でも嫌って程リスクについて勉強します。」というと、ナスさんは言葉を選びながら、「医療職ってのは、業務だけならいずれできるようになっちゃうんだよなぁ。業務ができるようになると、自信がついてくる。自信がつくと最初のこわさを忘れちゃうんだよね。」と言いました。

ナスさんは新人ナースをじっと見つめて、「病棟にはさ、鬼がいるんだけど」と話し始めると、「だめです!私本気で怒られるの本当に怖いんです!褒められて伸びる子なんです!」と駄々をこねました。ナスさんは笑いながら、「安心したまえ。その感情もみんな通った道だ。」と励まします。

するとワカさんが、「今のうちに誰かがこわさを教えておかないと、あの子たちが将来泣くかもしれないよ。」と付け足しました。ナスさんは「怒るのって、怒る方も体力も精神力も使うし、やっぱり嫌われるから嫌なんだよ。でも何かあった時に、次は気を付けようねって笑顔で言ってるようでは、こわさに気づけないんだよね。看護師はそういう仕事なんだよ。きちんと怒るって実は愛情がないとできないことなんじゃないかな。」と言いました。

さらに、「でさ、その愛ある鬼がある日、『もういいです。好きにしてください。』とか言い出したらどう思う?」と質問すると、新人ナースは、「見捨てられた…?」と不安そうに答えました。ナスさんはうなずきながら、「それもこわさ。見捨てられるっていうのは、『どうなっても関係ない』『あなたに教えることはない』ということだからね。」と言いました。看護師の仕事は処置、ケア、なんなら声がけ一つでその人の人生が変わってしまうかもしれないこわい仕事。”こわい先輩”は身をもってこわさを教えてくれる存在。怒られることよりもこわいのは、見捨てられて何も言われなくなること。この”こわさ”を忘れないようにね。

新人ナースたちは、真剣にナスさんを見つめ、声を揃えて「…はい!」と答えました。ナスさんは最後に、「それと4つめ、心も体も限界はあるんだから、決して無理はしないように。」と言いました。本当につらくて合わないと思ったら、病棟長なり、責任者なりに臨時情報をオープンにしていくこと。SOSを出せば誰かは気づいてくれるから、遠慮なく相談してね。人には相性はあるから、頼れる人を見つけてしっかりと頼ること。

「みんながとった免許は、まだ生まれたて。泣いたり笑ったりして、素敵な免許へと育ててほしいな。」と締めくくり、席を立とうとするナスさん。ですが、足がしびれて立てません。そんなナスさんを見た新人ナースたちはあわてて、「や、やだ!転倒…!えーっと。」「看護師さん!」と当のナスさんそっちのけで、それぞれに助けを求めだしました。その光景を見ながら、「何やってんのよ…あんたたち…」とツッコむワカさんなのでした。頑張れ!新人さんたち!

 


【著者プロフィール】

ぷろぺら(@puropera44

現役で病棟看護師やってます
ぴんとこなーすをどうぞよろしくお願いします!

Twitter[https://twitter.com/puropera44

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