私のトンちゃん~ストーマケアをめぐる愛の物語|マンガ・ぴんとこなーす【80】

ストーマは患者さんのライフスタイルを大きく変えるもの。
だからこそ、ナスさんにはこだわりがあるのです。
 

タイトル:私のトンちゃん~ストーマケアをめぐる愛の物語

「トンちゃん家ではとってもいい子だったわよ。外来のモトヤマさんもトンちゃんのことうんとほめてくださって…」と話し始める患者さん・Mさん。そして、「最初は大変でしたよね。今はもうすっかり慣れてMさんの方が詳しいと思います。」と応えるナスさん。Mさんは、「今はもうなんだか可愛くて可愛くて…私のトンちゃん…」と言っています。2人が話している”トンちゃん”とは、実はストーマのこと。ストーマに名前をつける方は結構います。

 

Mさんは五十代女性。交通外傷による腸管損傷に対して、半年程前に人工肛門の造設手術を行いました。半年前……Mさんのオペ入室まで20分しか時間がなく、「サイトマーキング舐めてんのか!」と声を荒げるナスさんと、「いや緊急だから救命優先でしょ。」と言うワカさん。Mさんの元へ向かいます。サイトマーキングとは、お腹のどこにストーマ(人工肛門)を造るか決める作業のことです。本来、ストーマ造設の際には、患者さんの趣味や仕事、普段の服装に至るまで情報収集を行い、様々な体位で腹壁の変化を観察します。それは、ストーマが患者さんの生活に深く関わるから。だからこそ、ケアを行う病棟の看護師がマーキングを行います。

 

ですが、緊急手術の場合、十分な説明や体位の変化による観察が行えないことが多いので、まずは患者さんやご家族にストーマに対する理解を頂くことが、術後の受け入れのためにも重要になってきます。ナスさんとワカさんが、Mさんとご主人に人工肛門について説明をはじめると、「先生からお話は伺ったんですが、急なことで動転していてあまり理解できていなくて…人工肛門って機械をつけるんですよね…」」と不安そうなMさんのご主人。「

 

人工肛門という言葉から、『ウィーン、ガシャーン』とメカニックな音がする感じの装置を想像する方が多いが、違うのだとご主人に説明するワカさん。人工肛門(ストーマ)は、ご本人の腸を使って造りるもので、ざっくりと言えば腸を直接お腹に出してしまいます。今回Mさんは、腸が破けてしまった場所に、腸が治るまで便を通したくないのでストーマを造り、ストーマから便を出すようになります。お腹に出したストーマは触っても痛くありません。術後はしっかりと洗って清潔を保つことが大切になります。ストーマをあげる場所は、医師からは右上優先と言われていますが、お腹の様子や手術の具合によって変更になる可能性があります。…と話し、ストーマの模擬品をご主人に触ってみてもらいます。

 

ストーマの模擬品を触って「あ…ぷにぷにしてる」と言うMさんのご主人。ワカさんは、ストーマは機械じゃないんですと説明を続けます。一方、「痛みはだいじょうぶですか?」とMさんに話しかけるナスさん。Mさんは、お腹から便が出るようになるってことですよね…と不安な様子です。ナスさんは、「大丈夫ですよー」とMさんに説明します。お尻にある肛門は便を我慢していきんで出すことができますが、ストーマはそれができず、便が流れてくると出てしまいます。そこで…

 

ナスさんが出したのは、ストーマ用装具。お腹に貼って、袋で便を受け止めてくれます。Mさんが今まで排便の後にしていた「便をした後におしりを拭く」作業の代わりに「ストーマ用装具の袋から便を出して捨てる」という作業をしてもらうようになります。自宅のトイレでも出来る作業なので安心してくださいね。とナスさん。

 

「…漏れたり匂いが出たりはしないんですか?」と質問するMさん。ナスさんが、そこが私達の腕の見せ所です。沢山の製品の中からMさんのお腹に合ったものをしっかりと選ばせてもらいます。と答えると、Mさんの目に涙が。Mさんは、急にこんなことになって、人工肛門なんて想像したこともなくて、今までの生活全部失うと思って怖かった。でも、なんとかなりそうだと思ったら少し安心して…と語り、「すみません…よろしくお願いします」と言います。

 

「…大丈夫ですよ。うちの病院の医師は腕がいいので、手術は安心して受けてください。急に言われて怖かったですよね。説明が充分に伝わらないことがあったら、なんでも聞いてくださいね。装具の張り替えはご主人の協力も必要になるので一緒に頑張りましょう」とMさんに語りかけたナスさん。ワカさんとマーキングの確認をします。右上優先、という話になったところで執刀医の先生がやってきます。

 

執刀医の先生に、マーキング位置は右上と確認。これから手術室へ行くMさんに、ナスさんは、かけ足の説明で申し訳ありませんでした。分からないことはなんでも聞いてください。足りない分は術後一緒に頑張りましょう。と声をかけます。「病棟でお待ちしていますね」とMさんを送るナスさん。

 

Mさんは手術室へ。ワカさんが「旦那さんが理解良さそうで良かったわね」と言い、ナスさんも「ほんとに術後はスムーズにいかせてあげなきゃ」と話します。そして、「いやーあとは任せてくださいよ」という執刀医の先生に、ワカさんが『ぐるんっ』と振り向いて…「いいストーマあげてこなかったら呪ってやる…」と発言。目が怖いです。執刀医の先生は、呪われるのかぁ…頑張るけどさぁ…と、プレッシャーを受けつつ手術に向かいます。---ストーマ、それは患者さんのライフスタイルが大きく変わる症例の一つ。だからこそナースの力が必要なのです。

 


【著者プロフィール】

ぷろぺら(@puropera44

現役で病棟看護師やってます
ぴんとこなーすをどうぞよろしくお願いします!

Twitter[https://twitter.com/puropera44

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