ドレーンのこと~新人さんに捧げる長編2|マンガ・ぴんとこなーす【44】

『新人さんに捧げる長編シリーズ』第2弾。

今回はドレーンに関するよもやま話をお届けします。

ドレーンとは、手術の後など体の中に留置される管各種のこと。お腹や胸、頭などいろいろな場所に入れます。ドレーンを入れる理由は大きく分けると3つあります。

どのドレーンについても言えることは「抜けたらヤバイ!」ということ。

例えば、抜けたからと言って、突然大量出血して死んでしまうようなことはありませんが、抜けたら何が起こるか分からないというのがドレーンの怖いところ。とても重要度が高いです。

広義な意味あい的には尿道カテーテルもドレーンに位置づけされる。膀胱に入ったら水でバルーンを膨らませて固定するため、やすやすとは抜けない構造だけど、認知症の患者さんにかかれば赤子の手をひねるようなものである。

Sさんは七十代の女性。しっかりしているが、術後でお腹にドレーンが一本入っている。しかし気がついたらSさんがトイレにいた。「大丈夫でした?トイレ行く時でも暗いから無理しないで呼んでね。」と話しかけながらお腹を見せてもらうと…ドレーンが抜けてる!

急いで先生に連絡します。こういう時ありがたいのは、担当の医師がこういうことで決して看護師を責めたりしないところだ。ちなみにドレーンは主に色や匂いなどでやばさを判断します。

卵形のドレーンは皮下ドレーンといいます。手術創の近くに入れていることが多い。卵形の部分をぎゅっと握ると中が陰圧になって体液を引っ張ってくれます。皮下=脂肪層なので、肥満体形の方の排液は、とってもジューシー。それを見ていたナスさんとワカさん。ナスさんが「この人の皮下の排液さぁ…」とナスさん。「何か変?」と心配するワカさん。「見てるとらーめん食べたくなっちゃ…」といいかけたら、実力行使でワカさんに止められました。

排液がヤバイ色の時は汗が瞬時に5Lくらい出る思い。ドレーンからの出血は命に関わる事項なので最優先項目になる。なので患者さんが「看護師さーん、管から血が出てるんだけど…」の言葉にものすごくあせり、確認すると血ではなかったりする。「血が出てる」の意味が患者さんと違うのです。

ドレーンではないが、経鼻経管栄養も管のひとつ。口からご飯を食べることができない人が鼻から管を胃に通して栄養を通すもので、固定は鼻のふちだけ。

だから患者さんに簡単に抜かれてしまうけど、看護師でも入れられるので、ドレーンほどのダメージはない。やはり、出なきゃいけないものが出ないというのは危ない兆候。排液量はドレーンを入れている場所によって緊急度が違う。ナスさんが、前日の量と比較してみると

膵管が全然出てない!すぐさま先生に連絡!さすがの外科医もあせる管が膵管。膵臓の消化液は漏れると膵臓自身や周りの臓器も溶かしてしまう性質を持っていて、膵管が出てないということは中で漏れている可能性があり、とてもやばいのです。

膵臓の手術は消化器外科手術の中でも屈指のドレーン数を誇る。「人のお腹ってこんなに管入ってたっけ?」という気持ちになるほど管の数が多い。故に固定のテープを交換することすら、超緊張するケアのひとつです。

だからこそ、そんな患者さんが自分で起き上がって歩いている姿を見た時の感動は、他に変えられないものがある。管が入っていたほうがいいのか、ない方がいいのかという問題についてにはナスさんもジレンマに悩まされるようです。

 

ドレーンのこと(完)

 


【著者プロフィール】

ぷろぺら(@puropera44

現役で病棟看護師やってます
ぴんとこなーすをどうぞよろしくお願いします!

Twitter[https://twitter.com/puropera44

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