非定型肺炎(2) レジオネラ肺炎
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はレジオネラ肺炎について解説します。
平澤真実
さいたま赤十字病院ICU看護主任
慢性呼吸器疾患看護認定看護師
レジオネラ肺炎とは?
レジオネラ肺炎は非定型肺炎であり、細胞内寄生細菌であるレジオネラ菌が含まれるエアロゾルの吸入や誤嚥が原因で起こる肺炎です(表1)。
memo:エアロゾル
空気中に浮遊する微粒子。
レジオネラは水中や土壌内で生息しており、循環式の入浴施設や空調用のクーリングタワー(冷却塔)、加湿器などからの感染がみられます。入浴施設などで発生すると大規模な集団感染につながります。ヒト-ヒト感染はありません。
近年患者数が増加傾向にあります(図1)。
目次に戻る
患者さんはどんな状態?
咳嗽や喀痰、呼吸困難、胸痛などの呼吸器症状のほか、発熱、頭痛や意識障害、下痢、嘔気・嘔吐なども出現するのが特徴です。
急激に呼吸状態が悪くなり重篤化しやすくなります。
目次に戻る
どんな検査をして診断する?
50歳以上、喫煙歴、慢性肺疾患、細胞性免疫不全(長期ステロイド投与、TNF阻害薬の投与)、糖尿病、末期腎不全、悪性腫瘍(肺がん、血液腫瘍など)、臓器移植後などのリスク因子があれば、積極的に疑うよう推奨されています。
X線上では肺野の浸潤影を認めます(図2)。
尿検査を行い、尿中レジオネラ抗原の有無を評価するとともに、喀痰検査でもレジオネラの有無を確認して診断を行います。
目次に戻る
どんな治療を行う?
ニューキノロン系抗菌薬またはマクロライド系抗菌薬が第1選択薬となります。治療は原則点滴加療を行います。
レジオネラは、肺胞マクロファージなど貪食細胞内で増殖(細胞内寄生)するため、細胞内活性が低いβラクタム系抗菌薬やアミノグリコシドは無効です。
目次に戻る
看護師は何に注意する?
患者さんには銭湯などの入浴施設の利用の有無や加湿器の使用、園芸など日常生活の様子を聞き、レジオネラ菌の曝露歴について問診をします。
急激に呼吸状態が悪化する可能性があるため、フィジカルアセスメントを用いて厳重な呼吸状態の観察・評価を行う必要があります。
目次に戻る
レジオネラ肺炎の看護の経過
レジオネラ肺炎の看護の経過(マイコプラズマ肺炎の看護の経過も含む)は以下のとおりです(表2-1、表2-2、表2-3、表2)。
表2-1 マイコプラズマ肺炎・レジオネラ肺炎の看護の経過(発症から入院・診断)
表2-2 マイコプラズマ肺炎・レジオネラ肺炎の看護の経過(入院直後・急性期)
表2-3 マイコプラズマ肺炎・レジオネラ肺炎の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)
目次に戻る
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社