気管切開とは?
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は気管切開について解説します。
勅使河原育美
さいたま赤十字病院ICU看護師
呼吸療法認定士
気管切開
気管切開は、喉頭より上部の気道や肺に何らかの障害があり呼吸困難が生じる場合に、救急処置また予防処置として行います(表1)。喀痰の除去や死腔の減少が目的となる場合もあります。
気管挿管が可能な場合は実施しないことが原則ですが、気管挿管が長期(約2週間)に及び、抜管が困難な場合にも対象となります。
気管切開術の看護のポイント
術前にしっかり説明し、患者さんの不安軽減に努めます。
術中は必ずベッドサイドモニター(血圧、心電図、SpO2)を装着し、全身状態の変化に注意します)。
抗凝固薬や抗血小板薬を使用している場合、血液凝固障害がある場合は、創部からの出血に注意します。大量の出血は甲状腺からの出血の可能性や、血餅となり気管や気管支を閉塞させる危険性があります。
術後は痰に出血が混じることがあるため、痰の性状や量に注意します。
気管切開部周囲に皮下気腫が生じる可能性があるため、触診して確認します。
創部からの出血や、発赤・腫脹などの感染徴候に注意します。
気管切開管理のポイント
気管切開チューブがネックホルダーによりしっかり固定できているか確認します。ゆるすぎると自己抜去につながり、きつすぎると皮膚障害の原因となるため、指が1本入る程度のゆとりをもたせるようにします。
吸引は無菌的に行います。
気管切開部からの吸気は自然の加湿経路である上気道を通らないため、人工呼吸器につないで加湿をしない場合は、人工鼻を使用します(図1)。人工鼻を使用している場合は、痰などによるつまりに注意します。
気道感染および喀痰のこびりつきによる窒息を防止するため、気管切開チューブは2週間に1回、医師が交換します。
気管切開部のガーゼは毎日交換します。
カフ圧は、口腔ケアのタイミングなどに定期的に確認し、カフ上部の痰が気管内に垂れ込むことを予防します。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社