胸水検査
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は胸水検査について解説します。
平澤真実
さいたま赤十字病院ICU看護主任
慢性呼吸器疾患看護認定看護師
どんな検査?
胸水検査は、胸腔穿刺を行って胸水を採取する検査です。
胸水は臓側胸膜と壁側胸膜の間の摩擦を緩和するため、胸腔に正常でもごく少量(5~20mL程度)存在します。それが何らかの原因で過剰に貯留した場合、原因検索のために胸水検査を行います。
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検査の実際
エコーで胸水の位置を確認し、胸膜腔にある胸水を採取します(図1)。
得られる評価項目
生化学検査
蛋白、LDH(lactate dehydrogenase)を測定し、滲出液か漏出液かを鑑別します。
滲出液では糖やアミラーゼ、ADA(adenosine deaminase)などを測定します。必要に応じてpHや腫瘍マーカー、抗核抗体、補体価、リウマチ因子、LE(lupus erythematosus)細胞、脂質などの検査を追加します。
胸水の種類については表1のとおりです。
細胞診
がん細胞の有無の確認や、がんの病理組織分類を行うことができます。
感染症では白血球の分画を確認します。一般細菌では好中球、結核性胸膜炎ではリンパ球が主体となります。
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看護師は何に注意する?
検査中・検査後の注意点
検査中は疼痛や気分不快の有無、バイタイルサインをこまめに確認します。
採取した胸水の性状を観察し、記録に残します。
検査後は穿刺部の出血や皮下気腫の有無を観察します。またフィジカルアセスメントを行い、全身の状態をしっかりと観察します。
胸水検査の合併症
穿刺時に肺や肋間神経、動静脈を損傷すると、疼痛や出血、血気胸や感染のリスクがあります。
胸水を一度に大量に排出すると、再膨張性肺水腫をきたす可能性があります。医師の指示のもと排液量を調整する必要があります。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社