看護師のワークシートの作り方&活用術 |1日の行動計画がうまくいく!

看護師のワークシートの作り方&活用術 ~1日の行動計画がうまくいく!~

看護師が1日の業務予定を書き込む「ワークシート」。バインダーに挟んで持ち歩き、行動計画を立てたり、業務の進捗をチェックしたり、忙しい看護師にとって、とても頼りになるツールです。

 

でも、「ワークシートって、どうやって作るの?」「どう使ったらいいの?」と悩む人も多いかもしれません。

 

今回は、そんな人に向けて、ワークシートの作り方&活用のポイントをお伝えします!

※ワークシートは、職場によって、タスクシート/スケジュールシート/患者シート…など、いろいろな呼び方があります。

 

 

ワークシートの作り方|5ステップで業務を「見える化」!

ワークシートを作ると、1日の業務を「見える化」することができます。

 

やるべき業務が「見える化」されていると、優先順位を考えやすくなったり、抜け漏れを防いだりすることもできます。

 

ワークシートの基本の作り方について、5つのステップで解説します。

5ステップでワークシートを作ろう	 	 STEP1 フォーマットを用意する	 	 STEP2 時間指定がある処置・ケアを書き込む	 	例)薬剤投与/検査・手術 …など 	 STEP3 時間に少し幅がある処置・ケアを書き込む	 	例)         例)食前の血糖測定/看護師が行うリハビリ …など 	 STEP4 勤務時間内に実施すればOKな業務を書き込む	 	例) 記録/清拭/同意書の説明・お渡し …など 	 STEP5 実施タイミングが重なっている業務に対応する順番を決める

 

【STEP1】フォーマットを用意する 

まずは、ワークシートのフォーマット(型)を用意しましょう。

 

ワークシートには、いろんなタイプ・書き方があります。たとえば、30分ごとに区切って業務を書き込むもの、午前と午後に分けて業務を整理するもの、業務の種類ごとに予定をまとめるもの……など、さまざまです。

 

また、シートを手作りする人もいれば、電子カルテから出力できるシートを利用する人もいます。自分が「使いやすそう」と思うフォーマットを選びましょう。

 

どんなフォーマットでも、共通して「患者氏名」「時間」「業務内容」の3項目が入っているのがポイントです。

 

ここからは、【30分ごとのスケジュールを立てるフォーマット】を例に説明します。 新人ナースなど、行動計画の組み立てに不慣れな人にオススメです。

STEP1 フォーマットを用意する 例 30分ごとのスケジュールを立てるフォーマット:行動計画の組み立てに不慣れな人にオススメ

このフォーマットをダウンロードする

 

他のタイプのフォーマット例はコチラ

 

【STEP2】時間指定がある処置・ケアを書き込む

フォーマットを用意したら、初めに「時間指定がある処置・ケア」を書き込みます。

例 時間指定がある処置・ケア  ● 点滴/薬剤投与	● 検査・手術 ●(理学療法士などによる)リハビリ ● 医師による病状説明…など

「時間指定がある処置・ケア」は、時間通りに実施しなければならない治療や、他部署と調整・管理している処置などのこと。

 

「10:00 点滴」など指定時間も書き込んだり、赤ペン・マーカーなどで強調したり、決められた時間に抜け漏れなく実施できるように、目立たせておくのがポイントです!

STEP2 「時間指定がある処置・ケア」を書き込む

 

【STEP3】時間に少し幅がある処置・ケアを書き込む

次に、「時間に少し幅がある処置・ケア」を書き込みましょう。

例 時間に少し幅がある処置・ケア● 朝夕のバイタルサイン測定	●食前の血糖測定 ●看護師が行うリハビリ		 		…など

「時間に少し幅がある処置・ケア」は、ある程度、実施する時間帯の目安をつけておく必要のある業務のこと。

 

「〇〇の処置は11時半~12時の間に実施する」といった具合に、おおまかな時間で書き込んでおきましょう。

STEP3 「時間に少し幅がある処置・ケア」を書き込む

 

【STEP4】勤務時間内に実施すればOKな業務を書き込む

STEP2・3が済むと、スケジュールの中に「スキマの時間」が見えてくるはず! そこに、勤務時間内に実施すればOKな業務を書き込んでいきましょう。

 

「勤務時間内に実施すればOKな業務」は、実施する時間が変動しても患者さんや他のスタッフに影響が及ばない業務のこと。

例 勤務時間内に実施すればOKな業務	● 記録	 ● 翌日以降の治療のオリエンテーション	 ● 同意書の説明・お渡し ● 清拭…など

患者さんの状態や病棟の状況にもよりますが、まずは、比較的手の空きそうな時間帯があるか、ワークシートを確認してみましょう。

 

そういったスキマ時間に「勤務時間内に実施すればOKな業務」を差し込めるようになると、業務のペースアップにもつながるはずです。

STEP4「勤務時間内に実施すればOKな業務」を書き込む

 

【STEP5】「実施タイミングが重なっている業務」に対応する順番を決める

業務の実施タイミングが重複している時間帯は、「対応の優先順位」をあらかじめ決めておきましょう

STEP5 「実施タイミングが重なっている業務」に対応する順番を決める

対応の順番を考えるときは、時間指定の有無だけでなく、重症度・自立度・心理面などの「患者さんの状態」に注目するのもポイント。

患者さんの状態による優先順位の目安 (例) 重症度が高い バイタルサインに異常があるなど、急変リスクがある 転倒転落リスクがある・行動抑制をしている  心理面で特に配慮が必要 ADLが自立している・精神的に安定している

優先順位の判断がつかないときや、どうしても手が回らず対応が難しいときは、リーダー・先輩に相談してみましょう。どのように動いたら良いか、他のメンバーに依頼できそうかなど、一緒に考えてくれるはずです。
 

「他のメンバーに依頼する業務の考え方」はコチラ

 

もっと使える!ワークシート活用術6つ

ワークシートの基本の作り方を押さえたら、次は「ワークシートをうまく使うポイント」を見ていきましょう。

 

「ワークシートは作ってるけど、なかなか仕事がうまく回らない…!」と困っている人は、次の6つの活用術をチェックしてみてくださいね!

 

① 「終わった業務にチェック」で抜け漏れ防止

ワークシート活用術① 「終わった業務にチェック」で抜け漏れ防止

「ちゃんと確認してるつもりなのに、どうして抜け漏れがあるんだろう…」という人は、終わった業務に、その都度チェックマークや取り消し線をつけましょう! 

 

どこまで進んでいるか・何が終わっていないかが一目でわかるので、「このケアを忘れていた!」といった抜け漏れを防ぐことができます。

 

② 「業務の所要時間」も書いて無理のない行動計画に

ワークシート活用術② 「業務の所要時間」も書いて無理のない行動計画に

予定通りに進まなくて、どんどん業務が遅れちゃう……という人は、それぞれの処置・ケアにかかる「所要時間」を書いておくのもオススメ!

 

具体的な見通しを立てると、「まさかこんなに時間がかかるとは…」なんてギャップを防ぐことができます。

 

業務の前後には、準備、介助、片付け、実施後の報告…など、意外と時間がかかっているもの。患者さんの状態によって所要時間が変わったり、フォローしてくれる先輩との予定調整が発生したりするかもしれません。特に、業務に不慣れな新人ナースは10分ほど長めに見積もっておくと安心です。

 

「何にどのくらい時間が必要かわからないよ~!」という人は、次のように考えてみましょう。

処置・ケアにかかる時間はどう考える?(例)
  • マニュアルなどに記載されている所要時間を目安にする
  • 前に実施したときの時間を参考にする
  • フォローの先輩に相談して時間を決める

 

 

③ 「効率的な動線」を意識してバタバタ防止

ワークシート活用術③ 「効率的な動線」を意識してバタバタ防止

なんだかいつもバタバタしてしまう!という人は、ナースステーションと病室を何度も行き来するなど、余分な動きや時間が多くなっているのかも…。

 

業務の予定を見える化するワークシートは、「どう動けば効率的か」「無駄のない動線にするにはどうしたら良いか」を考えるのにも役立ちます。

 

効率的な動線を組み立てるコツは、対応する順番にある程度自由がきく「時間に幅がある処置・ケア」と「勤務時間内に実施すればOKな業務」で調整すること。

 

次のような考え方でスケジュールを組んでみると、動き方にも余裕が生まれてくるでしょう。

 

  • 13時にB子さんのCT検査出しがある。検査前のバイタルサイン測定は午前中に行うよりも、同室のA夫さんのお昼の内服後にすれば、そのままB子さんのCT検査出しもできて、効率が良いな。
  • A夫さんの退院後の生活指導は、午後のバイタルサイン測定とまとめて実施すれば、訪室回数も減って効率が良さそう!

 

 

④ 多重業務で焦らない!「依頼できそうな業務」にチェック

ワークシート活用術④ 多重業務で焦らない!「依頼できそうな業務」にチェック

ステップ5で、あらかじめ「実施タイミングが重なっている業務」に対応する順番を決めていても、状況次第では1人では回りきれないかも…と心配な時間帯があるかもしれません。

 

そんなときは、「他のメンバーに依頼できそうな業務」が分かるように、ワークシートに目印をつけておくと◎です。

 

目印があると、業務が立て込みそうな時間帯について、リーダーや先輩に事前の相談がしやすくなり、慌てずに業務を進めることができます

 

どの業務が依頼できそうかわからないときは、次の目安を参考にしてみてください。

受け持ち看護師が対応したほうが良い例   例 ● 手術・検査出しなどのイベント ● 状態悪化や急変に注意が必要な患者さん ● ケアの必要量が多い患者さん  → 受け持ち看護師が自分で情報を把握しておくと、伝達ミスやインシデントを予防できる   受け持ち看護師以外にお願いできそうな例  例 ● 軽介助・短時間で済む患者さんのケア ● 定時の内服・点滴・バイタルサイン測定などの対応  → 事前情報がなくてもすぐに対応でき、依頼するメンバーに負担がかかりにくい

 

⑤「予定の組み直し」で割り込みタスクも慌てない

ワークシート活用術⑤ 「予定の組み直し」で割り込みタスクも慌てない

「せっかく立てたスケジュールが変更になった」「予想してなかった業務が発生した」というとき、何から手を付けたら良いのかわからない…ということもあるかもしれません。

 

その日1日の予定が見えるワークシートは、どの時間帯が空いているかがパッとわかるため、急な割り込みタスクなどでの予定変更にも対応しやすくなります

 

たとえば、緊急入院の対応を任されたときは、上の例のように、実施予定の業務の時間を変更できそうか検討ができるでしょう。

 

⑥ 「情報収集&申し送りのポイント」をまとめる

ワークシート活用術⑥ 「情報収集&申し送りのポイント」をまとめる

情報収集した内容、どこに書いたっけ…? 何を申し送ればいいんだっけ…? など、せっかくメモしたことを忘れたり、申し送りたいことがまとまらなかったりするときもありますよね。

 

そんなときは、ワークシートの空いているスペースに、その日1日の患者さんのポイントを書き込んでおくといいでしょう。

 

たとえば、次のような内容を書き込めば、ワークシート1枚で患者さんについて把握しやすくなり、カルテへの記録にも活用できます。

備考・メモに書き込む項目(例)
  • 疾患
  • 安静度・注意事項
  • バイタルサイン値や症状などの観察項目(とその結果)
  • 確認事項・引き継いでおきたい内容

…など

 

いろんなタイプのワークシートを見てみよう!

ワークシートのタイプは、人によってさまざま。みんなのワークシートを見て、自分に合ったフォーマットを探してみましょう!

※それぞれのフォーマットは、すべてダウンロード可能です。

Aさんの場合:手作りの業務フローつきワークシート

Aさんのワークシートをダウンロードする

 

Bさんの場合:電子カルテのシートを活用 午前・午後でざっくり分けるワークシート

Bさんのワークシートをダウンロードする

 

Cさんの場合:手作りの業務別に分けるワークシート

Cさんのワークシートをダウンロードする

 

 

おわりに

看護師のスケジュールってコロコロ変わるから、行動計画を立てるのも修正するのも本当に大変ですよね。

 

ワークシートをうまく使いこなせるようになると、抜け漏れを防げたり、時間内に業務を終われるよう管理できたり、多重業務の動き方がわかりやすくなったり…さまざまな「どうしよう!」に対応する力がアップしていきます。

 

みなさんも、自分に合ったワークシートを見つけて、活用していってくださいね。

 

監修

川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)教育担当副部長上村美穂

看護師。集中ケア認定看護師。1996年に聖マリアンナ医科大学東横病院に入職。2017年より川崎市立多摩病院で教育担当師長、2019年より教育担当副部長として看護師の教育・育成に携わる。

 

文・編集/看護roo!編集部 小園 知恵(看護師)

 

 

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