パークへの愛を看護で還元! ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで働く看護師の仕事とは|病院以外のレア職場(3)

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写真は全て(同)ユー・エス・ジェイ提供。

 

さまざまな場所で働くナースを紹介する連載「病院以外のレア職場」。

 

第3回は、大阪の大人気テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで働く、DさんとNさんにインタビュー!

 

年齢・性別問わずさまざまなゲストが集まるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの救護所で働く2人に、たっぷりお話を聞いてみました。


取材・文 トヤカン(元看護師・フリーライター)

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで働く看護師の仕事って?Dさん、Nさんの場合

――ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの看護師さんのお話を聞けるなんて、とてもワクワクします! さっそくですが、1日の患者さんの数はどのくらいなんでしょうか? 来園者数も多いし、患者さんも多そうな印象がありますが…

 

Dさん:パークゲスト用の救護所(以下、救護所)に来る患者さんの数としては、少ない日でも20人くらいですかね。

 

転んだりして切り傷や擦り傷を負った方、3D映像を見るライドなどで乗り物酔いしてしまった方など、年齢・性別問わずさまざまな患者さんがいらっしゃいますよ。

 

夏場は熱中症の症状を訴える患者さんが増えるので、60人ほど対応する日もあります。

 

救護所入り口。パークの雰囲気に合う外観で、カチンコをモチーフにした看板も

 

――救護所を訪れる患者さんには、どのような処置を行うんですか?

 

Nさん:擦り傷や切り傷なら、患部を洗って消毒し、絆創膏を貼るなどしています。熱中症や気分不快のときは、救護所のベッドで休んでいただいていますね。

 

――軽い応急処置が多いのでしょうか?

 

Nさん:そうですね。というのも、救護所には、医師はいないんです。看護師と救急救命士(以下、救命士)だけで対応しているので、できることが限られているんですよね。

 

Dさん:医師の診察が必要だと判断したら、近隣の病院で受診できるように手配しています。急を要するときは救急車を呼んで、搬送してもらうこともありますね。

 

医師がいなくても、患者さんの安全を守れるよう、対応のフローを確立しています

 

救護所内の様子。壁に描かれたウッディー・ウッドペッカーたちがかわいい!

 

動けない患者さんを、パークを走る「救護車」でお迎えに!

――患者さんが救護所まで自力で来られないときもあるかと思うのですが…

 

Nさん:たしかに、そういうときもありますね。その場合は、私たちが直接現場に向かっています。

 

救護所の近くだったら歩いて現場まで行くんですが、歩いていけない距離のこともあって。そういった緊急時のための救護車があるんです!

 

現場まで距離があるときや、急いで現場に向かうときは、救護車でお迎えに行っています。

 

パーク内を走る救護車と、救護所で働くスタッフのみなさん

 

どれが本物の傷!? ユニバーサル・スタジオ・ジャパンならではの救護エピソード

 

――お2人が今までに対応した中で、印象に残っている患者さんはいますか?

 

Dさん:秋に恒例の『ハロウィーン・ホラー・ナイト』っていうイベントでの患者さんが印象に残っていますね。

 

イベント参加中に転んで動けなくなってしまった患者さんがいると連絡を受けて、私たちが現場に向かったんです。

 

その患者さんは、ゾンビのコスプレをしていたんですが、出血メイクのクオリティが高すぎて…! どれが転んだ傷なのかわからなかったんです(笑)。

 

――そんなにクオリティが高いメイクだったんですね…! どうやって見分けたんですか?

 

Dさん:本当に見分けがつかなかったので、思わず患者さんに「どれが本物ですか!?」って聞いちゃいました。

 

年々ゲストのみなさんのメイクも上手になっていて! 本物の傷を見分けるのも、ますます難しくなっています(笑)。

 

――まさにユニバーサル・スタジオ・ジャパンならではのエピソードですね…! Nさんはいかがでしょう?

 

Nさん:名札についてのやりとりですかね。

 

私たちがつけている名札には、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのキャラクターたちが描かれているんですが、救護所に来たお子さんは、みんな名札に夢中になるんです!

 

 

ときどき処置中に「これ、欲しい!」と言われることもあるんですけど、差し上げるわけにもいきませんし…。なので「これはあげられないから、キャラクターに会いに行ってみてね!」と伝えて、パーク内に送り出しています。

 

ちょっとしたやり取りですけど、名札を通してお子さんに心を開いてもらえるのは嬉しいですね。

 

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで働き始めたきっかけと、仕事のやりがい

 

――お2人がユニバーサル・スタジオ・ジャパンで働こうと思った理由、きっかけを教えてください!

 

Dさん:私は10年くらい病棟で働いていたんですが、働いているうちに、「まったく違う環境で看護師として働いてみたい」と思うようになったんです。

 

そのタイミングで、もともと好きだったユニバーサル・スタジオ・ジャパンが看護師を募集していて。「ここで働けたらいいな」と思って、応募しました。

 

Nさん:私は、もともとユニバーサル・スタジオ・ジャパンが大好きだったのもあって、1年目のときに応募しようとしたんです。

 

でも、病棟での勤務歴がないと応募できなかったので、そのときは諦めて、大阪から出て病棟で働くことに。そこから戻ってきたタイミングで募集を見かけて、迷わず応募しました!

 

ずっと「人が楽しく時間を過ごしているところで働きたい」と思っていたので、採用されたときは嬉しかったですね。

 

――病棟とはまったく異なる場所で働くことに、不安はありませんでしたか?

 

Dさん:もちろん不安はありました。病棟という世界しか知らなかったので「どんな感じなんだろう」「自分が役に立てるのかな」とは思いましたね。

 

でもワクワクや期待もあって、むしろそっちの方が大きかったかもしれません。

 

Nさん:私も不安でしたね。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに看護師がいることは知っていましたけど、具体的にどんな看護をするのか想像がつかなかったのと、医師がいない現場も初めてだったので。

 

――その不安は、どのように払拭されていったのでしょうか?

 

Dさん:看護師同士で知識を共有したり、救命士さんにレクチャーを受けたりできる体制が整っている、っていうのが大きいと思います。

 

医師がいないというプレッシャーはもちろんあります。でも、その分観察力を磨いたり、知識・経験を共有したりして、パークで楽しむ患者さんの安心を支えることができているのかな、と思っています。

制服の袖には、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのロゴが。「これを着れるのも、いちファンとしては嬉しいです」とNさん

 

――お2人がユニバーサル・スタジオ・ジャパンの看護師としてやりがいを感じる瞬間を教えてください!

 

Dさん:やっぱり、患者さんが笑顔で元気にパーク内に戻っていくのを見たときですね。

 

患者さんの中には、「あのときはお世話になりました」と顔を見せに来てくださる方もいるんです! 嬉しいし、パークを楽しんでもらう力になれているんだと感じます。

 

Nさん:私も同じです。

 

救護所に来る患者さんも、患者さんである前に「パークに来るのを楽しみにしてきた人」ばかりなんですよね。そんな中で体調が悪くなって、もどかしい気持ちもあるんだろうな、と思うこともあって。

 

私たちもパークが大好きだから、救護所で休んで元気になって、思いっきり楽しんでほしいっていう思いが強いんです。

 

だからこそ、回復して嬉しそうにパークに戻っていく姿を見ると、楽しい時間を過ごすお手伝いができたのかなって、こちらも嬉しくなりますね。

 

写真:スーパー・ニンテンドー・ワールド ©Nintendo

 

――ずばり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのお仕事の魅力はどんなところでしょうか?

 

Dさん:未経験の分野があっても、お互いに教え合いながら働けるところと、改めて看護師としてのスキルを高められるところかな。

 

Nさん:私もそう思います。

 

私は整形外科で働いた経験があるので、外傷の観察や骨折を疑う方へのトランスなどは教えられますし、同僚にもよく聞かれたりします。逆に小児科の経験がないので、子どもへの対応の仕方は、小児科経験のある同僚から教えてもらったりしています。

 

あと、患者さんが急変しても落ち着いて対応できるように、病棟ではあまり使われない、スクープストレッチャーやターポリン担架などの使い方も、救命士さんに教えてもらっています。

 

お互いのスキルを共有し、学びながら働けるのは、大きな魅力ですね。

 

――自分の経験を活かしつつ、他分野のスキルも学べるのはすごく魅力的ですね!

 

Dさん:そうなんです。あと、ここの看護師はみんなユニバーサル・スタジオ・ジャパンが大好きなので、新しいアトラクションができたりイベントが始まったりしたら、その話で盛り上がってます!

 

休みの日でもパークに遊びに行く人もいるくらいで。同僚と共通の話題があるのも魅力ですね。

 

Nさん:病棟じゃない場所で働きたい人、いろんな分野の看護に興味がある人はもちろん、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが好きな人にとっても魅力満載の職場だと思います!

 

 

執筆

ライタートヤカン

大学病院の正看護師として働いた後、フリーライターに転身。
『まいにちdoda』『ダ・ヴィンチニュース』『bizSPA!フレッシュ』にて記事を執筆。エンタメ、社会問題、はたらくこと、看護に関するジャンルを中心に幅広く活動中。

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