「何がわからないかわからない」ナースに贈る春の本|ヤンデル書房(6)

ヤンデル書房タイトルイラスト

Twitterフォロワー数12万人、軽快なしゃべりも大人気の医師・ヤンデル先生が「本屋さん」になって、看護師のみんなにおすすめの本を紹介してくれます。

 

文:ヤンデル(病理医)

イラストレーション:ネモトマ

 

ヤンデル書房~看護師だけのヒミツの本屋

Vol.6 先輩ナースが書いた看護のトリセツ

 

いらっしゃいませ。

すっかり春ですねえ。

あたたかくて、うれしいですね。「春の本」が棚に映えます。

 

えっ、「春の本」なんてあるのか、ですって?

 

確かに、たいていの本は、四季を問わずに読めますからね。

冬の登山を題材にした冒険記を、夏に読むのもオツですし。夏の旅行の計画を立てるために、冬のうちにガイドブックをめくるのも楽しいものです。

 

ただ、こうして本を扱っていますと、やっぱり春には独特の「求められる本」があるように思うんですよ。新生活に備えてそろえておきたい本というか。

 

今日はズバリ、あなたの春を応援するような本をおすすめします。

 

書影画像とオススメポイント図表。ポイント1・身近な人の医療相談になるべく答えてあげたいナースに!ポイント2・小児科ナースも納得の情報量!

『先輩ナースが書いた看護のトリセツ』(照林社)

 

 

スプリング・ハズ・カム!

この本は完全に「春の本」だなーと思うわけです。

 

見てくださいよ、この明るいデザイン。あたたかな春の色。スプリング・ハズ・カム。

表紙の男の人なんてマジで跳ねてます。いかにもスプリング。

 

 

 

春といえば入職! 新人! 異動! 心機一転! 

 

扉のトップには、「先輩ナースが書いた」のフキダシ。

 

さあこれからがんばろう、っていう若者に向けて書かれた、先輩からのメッセージが詰まっているんです。

 

どうです、いかにも頼りになりそうでしょ。

 

……あ、微妙な表情をなさってますね。表紙のデザインだけで盛り上がられても、的な。

 

わかりました、ではとっておき……ここだけの話を致しましょう。

 

ぶっちゃけ今のご時世、「トリセツ」を名乗るのってめっちゃくちゃ覚悟がいると思うんですよ

 

だって、トリセツって、もう若干古くなりつつあるフレーズですからね(笑)。

 

有名なあの方に歌われたのはもう5年前。あれからずいぶんたくさんの「トリセツ」が世に出ました。試しに某ネットストアで「トリセツ」と入れて検索したら、該当書籍数は2000件以上。大半がこの5年以内に出た本です。明らかに流行しています。

 

となると、少なくとも、トリセツと名付ければ手に取ってもらえた時代は、もう過ぎ去ったといっていいでしょう。書名だけなら目新しくないです。

 

それを踏まえた上で……、私は、この本は「ぜひ手に取ってもらいたい、いいトリセツ」だと思うんです。

 

 

いいトリセツは「わからない」が先取りされている

「いいトリセツ」ってどんなものだと思いますか? 

 

わかりやすさ? 読みやすさ? 難しすぎないこと……?

 

どれも正解でしょうけれど、私が考えた「いいトリセツのポイント」は、こうです。

 

「ニーズを先取りして網羅していること」

 

ニーズを網羅している、じゃないですよ。ニーズを「先取りして」網羅している。

ちょっと説明が必要ですかね。

 

 

現代に暮らす私たちは、知りたいことを調べようと思ったら、別に本に頼らなくてもいいんです。ググれますからね。

 

疑問が思い付きさえすれば、検索して解決できてしまう。

 

でも、ここには落とし穴があります。

私たちは、自分が何をわからないのかがわからないと、検索すらできないんですよ。

 

若いナース、キャリアをまだあまり積んでいないナースは、看護の現場で困ったり、モヤモヤしたりした経験もまだ蓄積されていないため、疑問に思うポイント自体があまりありません。

 

ということは、検索したいフレーズが思い浮かばない。

 

ニーズ自体が、まだない

 

でも、先輩たちはみんな、ちゃんと勉強しておいたほうがいいという。ニーズもないのに、何を勉強すればいいのか?

 

そこで「自分がいずれ出会うであろう疑問を先取りして、網羅してある本」の出番なのです。

 

 

レベルに合わせて★を拾え!

この本には13の大テーマと115の項目があります。

 

見てくださいこの分厚さ。トンカツなら中まで火が通らないレベル。さっと立ち読みしようと思ってもどこを読んでいいのかわからないでしょう。

 

そういうときは、目次の★を見るといいです。

 

★がナース1~2年目で必要な知識、

★★が3~5年目で必要な知識、

★★★は専門性の高い高度な知識。

 

目次の★ふたつの項目を拾い読みしてみれば、そこには「3~5年目のナースが出会うであろう疑問」が一通り載っています。

 

たとえば……

「緊急を要する心電図波形」

「カテコラミン投与時の注意点」

「ドレッシング材の違いと選び方」

「脳梗塞が起こったらどうする?」

 

どうです? 「あーたしかに、それがわかったら役に立つだろうなー」と思いませんか? 

 

目次をみて、自分のレベルに応じて記事を拾い読みしていくことで、「ああ、3~5年目ではこういうことを学べばいいのか」という、「全体像」が見えてくるんです。ガイドマップとして優れている。これこそいいトリセツ!

 

若いお客様からの評判もめちゃくちゃいいです。おすすめですよ。

 

ところで……。

 

私、こう見えて最近、老眼が来まして。目次の星が見づらいんですよね。まあ若い人には関係ない悩みかもしれませんけれど、ぶっちゃけ、どれが星ひとつなのかよくわからなくて、結局、記事を選んで読むことができず、通読しました(笑)。

 

 

 

ヤンデル書房 店主

病理医ヤンデル(市原真/いちはら・しん

1978年生まれ。2003年北海道大学医学部卒、国立がんセンター中央病院(現国立がん研究センター中央病院)、札幌厚生病院病理診断科。現在、同科主任部長。医学博士。病理専門医。著書に『症状を知り、病気を探る』(照林社)、『いち病理医の「リアル」』(丸善出版)、『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと』(大和書房)など。Twitterブログnoteなどで発信中。良い本を人におすすめするのが大好き。この夏はオンラインイベント『#SNS医療のカタチTV やさしい医療の世界』(2020/08/23)も開催します!

 

 

先輩ナースが書いた看護のトリセツ

■編著:久保健太郎・濱中秀人・徳野実和・倉岡賢治

■発行:照林社(2019/04/17)

■判型:B5判、384ページ

■定価:本体3,200円+税

■ISBN-13: 9784796524605

 

編集:烏美紀子(看護roo!編集部)

 

 

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