「夜勤過多で体調不良」「夜勤をしないと稼げない…」看護師のジレンマ

夜勤は少ないほうがいいですか? それとも多めに入りたいですか?

夜勤過多の健康被害が注目される一方で、「夜勤をしないと稼げない」という声もあります。

看護師の労働環境と賃金は、どうすれば改善されるのでしょうか?

 

「夜勤過多で体調不良」「夜勤をしないと稼げない…」看護師のジレンマ

【文:白石弓夏(看護師)】

夜勤をする看護師のイメージ写真

 

◆目次

 

夜勤過多の看護師が多いほど、離職率が高くなる

前回は、夜勤過多がもたらす健康被害の調査結果を解説しました。

別の調査では、夜勤過多と離職率の関係も報告されています。

 

この報告では、夜勤過多の看護師の割合が多い病院ほど、離職率が高いことが明らかになりました。

夜勤過多の看護師が50%以上の病院では、離職率の平均値 10.9%を大きく上回っています。

 

月夜勤72時間超ナースの割合と、離職率の関係図

「2016 年 病院看護実態調査」 結果速報(日本看護協会)を基に編集部で作成(以下同)

 

夜勤の時間数については、「72時間ルール」という基準が設けられています(詳しくは▶こちら)。

その基準に則り、「月夜勤72時間超ナースの割合と、離職率の関係」を調べた結果が上記のグラフです。

 

夜勤過多による健康被害は深刻です(詳しくはこちら)から、そのような病院から看護師が辞めていくのは当然のように思います。

 

 

「夜勤が減る=給料が減る」ジレンマ

夜勤過多が健康被害や離職につながる一方で、夜勤が減りさえすればいいわけではありません。

なぜなら、夜勤が減れば給料が減るからです。

 

私自身、病院に勤務していた頃、夜勤手当を頼りにしていました。

体が多少つらくても、稼ぐためには、バリバリ夜勤をやりたいと考える人もいると思います。

 

たとえば、夜勤回数が6回か、4回かでは、給料が24,000円も違ってきます(夜勤手当を12,000円/回 として計算)。

 

(例)夜勤回数に応じた夜勤手当と日勤回数

※2交代の場合

夜勤 6回/月、日勤 8回/月(夜勤手当 72,000円)

夜勤 4回/月、日勤 12回/月(夜勤手当 48,000円)

 

個人的には、朝が苦手な性分なので、夜勤が少なく、日勤が多いシフトには抵抗がありました。

体はつらくても夜勤が多く、日勤が8日と少ない方が気持ち的には楽でした。

 

 

働きづらさを感じる理由No.1は「給料が少ない」こと

また別の調査では、ナースが働きづらさを感じる理由No.1が「給料が少ないこと」という結果が出ています。

 

2位は「業務が多いこと」、3位は「休めないこと」、4位は「夜勤の身体的負担が大きいこと」、5位は「手当が少ないこと」と続きます。

 

この結果を総合的にみると、「夜勤過多→身体的負担の増加」「夜勤減→給料減」というジレンマは、確かに存在しているようです。

 

看護職員として勤務し続けるうえでの問題点を表した棒グラフ

 

 

ここ5年で夜勤手当は減少傾向

ここまで見てきたように、夜勤の負担と賃金制度について問題があるにもかかわらず、夜勤手当はここ5年で減少傾向といえます。

 

平均夜勤手当の推移

 

さらに、夜勤負担に応じた手当の増額等、取り組みをしていない病院が、6割にのぼります。

 

夜勤負担に応じた賃金追加支給制度についての表

 

このような状況を受け、日本看護協会では、どのような仕組みをつくれば看護師の健康と賃金を守れるのか、専門家と共に検討を進めています。

次回は、その取り組みについて解説します。

 

(参考)

「2016 年 病院看護実態調査」 結果速報日本看護協会

 

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