労働基準法|いまさら聞けない!ナースの常識【13】

毎日の業務の中で触れているけど、『いまさら聞けない』ことってありませんか?

知ってるつもりで実は説明できない基礎知識や、ちょっと気になるけど調べるほどでもないな、なんてこと。

そんな看護師の素朴な疑問を、元看護師ライターがこっそり教えます。


 

Vol.13 労働基準法

労働基準法とは

被雇用者(雇われて働いている人)ならば誰でも関係する労働基準法。基本的には被雇用者ではなく、雇用者(要するに病院)側が守るべきことが決められている。しかし世のなかの人すべてが労働基準法通りに働いているわけではない。特に医師や看護師という職業は、逸脱している職種の筆頭にあがるのではないだろうか。

今回は、労働基準法の中でも看護師に関係が深そうなポイントを上げてみる。

 

 

看護師が行使できていない権利?

看護師という職務上、一番関係ありそうなのは「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」ではないだろうか。

労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇の中身をかいつまんでみると

 

・1週間の労働時間は40時間以内

・1日の時間外労働は2時間以内

・労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩をとれる

・入職日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば、10労働日の有給休暇がとれる

 

妊産婦の場合、

 

・産前6週、産後8週は休める

・希望すれば軽易な業務に変われる

・時間外や休日出勤はしない

 

はずだ。

 

しかし、実際の勤務がこの範囲内の看護師はどれくらいなのだろうか。

 

 

看護師はみな働き者だ!

2010年に日本看護協会が行った「病院看護職の夜勤・交代勤務等実態調査(以下、実態調査)」というものがある。実態調査の結果では、3交代の場合の日勤回数は月平均10.5回、夜勤回数は月平均8.5回、集中治療室などでは日勤回数と夜勤回数が逆転している。

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図1 3交代看護師の平均勤務回数

 

シフトの組み方にも問題はあるようだ。日勤-深夜勤、準夜勤-日勤など、勤務時間の間隔が12時間も空かない勤務を、8割近くの看護師がこなしている。ILO(国際労働機関)は「交替制による労働に従事する看護師職員は、交替時間と次の交替時間との間に少なくとも12時間の継続する休息時間を享受すべき」としているが、実は日本の労働基準法にはこの取り決めはない。

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図2 勤務間隔が12時間以下のシフト回数

 

こういった背景からか、自分自身の体調不良を訴える看護師は3割を軽く超え、年代があがるほど割合は高くなる。

 

この結果からも分かるように、看護師はみな働き者だ!権利そっちのけで決められたシフトをこなし、時間外も働いている。離職率が高い職種でもあるが、再就職率も高い。やっぱり看護という仕事が好きで、性にあっていると思う人は辛くても頑張れるのか。

でもホントに疲れたら、ちゃんと休みを取ってほしい。自分が健康じゃなきゃ、他人の健康や安全は守れないからだ。

 

 

【岡部美由紀】

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