大阪の介護職員らが「経管栄養」「インスリン注射」などの医療行為 きっかけは?

大阪府羽曳野市にある介護つき有料老人ホーム「グランパ羽曳野」で、介護職員らが、「経管栄養」や「インスリン注射」などの医療行為を行っていたとして、元施設長や介護職員ら22人が医師法違反などの疑いで書類送検されました。

 

介護職員医療行為で施設側が釈明 「業務に追われ放置」(apital)

 

研修を受けないままの介護職員が医療行為

グランパ羽曳野では、2013年1月~2014年9月にかけて、専門研修を受けていない介護職員に、入所者2人に対する「経管栄養」を659回行わせていた疑いが持たれています。また、別の入居者2人へは糖尿病の「インスリン注射」を計1365回行わせていた疑いです。

 

「経管栄養」の医療行為は、「社会福祉士及び介護福祉士法」が一部改正された2012年4月からは、50時間以上の専門研修を受ければ、介護職員も行えることになっています。しかし当施設では、介護職員らに研修を受けさせないまま、元施設長らの指示で、医療行為を日常的に行っていました。

 

これらの「経管栄養」と「インスリン注射」の医療行為について、施設側は違法と認識しながら、介護職員に継続して行わせていたといいます。

元施設長は、研修を受けさせなかった理由として「費用がかかる」ことを述べており、容疑を認めています。

 

入居者の家族からの要望、自力でできない患者への対応がきっかけに

このきっかけとして、「経管栄養」は入居者の家族から「施設でしてほしい」という要望があったこと、「インスリン注射」については、認知症になった入居者が自分で注射を打てないことから、代わって介護職員が行うようになったことが報告されています。

 

介護職員らは違法だと知りながらも、上からの圧力でやらざるを得なかったと話しており、研修を受けようと思っても、欠勤して受ける必要があったため、その分給料が減ることを懸念し受けなかったことも告白しています。

 

介護付き有料老人ホームにおける看護師数と業務内容

現在、介護付き有料老人ホーム(特定施設)における看護職員の配置は、「利用者30名未満の場合、常勤換算で1人以上」「利用者30名以上50名までは、常勤換算で1人以上」「利用者50名以上の場合、常勤換算で1人+利用者に対して50:1以上」となっています。

 

医師が常駐していない状況で、看護職員最低1名という最低限の配置の中、看護職員は入居者の体調変化に応じて的確な判断を下さなければならない状況にあります。とはいえ、業務そのものは介護職員と対等で、それほど多くの医療行為がないという現場の声もあります。

病院の臨床現場に慣れている看護職員にとって、介護付き有料老人ホームでの仕事は不安が多く、立場や考え方の違いになじめないことから定着率が低いとも言われています。

今回の問題も、従来から課題としてあった入居者に対する医療ケア対応の不安定さが一つの原因といえそうです。

 

(参考)

介護職員等による喀痰吸引等の実施のための制度について(厚生労働省)

医師のいないところでは怖くて働けない?|あの看護師が介護施設を辞めたワケ【3】

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