猛暑の甲子園、熱中症で救護室へ運ばれる高校野球選手・観客が多数

【ナース知っ得ニュース 2015/8/12】

 

高校野球選手権大会が行われている甲子園球場では、連日気温は最高35度以上にも達し、グラウンドはさらに熱せられています。
9日の試合では、三重県・津商の投手や長崎県・創成館の二塁手らが両手足などのけいれんを訴え、降板・交代しました。熱中症と見られる症状を訴える観客も連日数十人をかぞえています。

 

酷暑の甲子園 選手はけいれん、観客は熱中症 次々救護室へ(スポニチアネックス)

 

救護室があふれるほどの体調不良者

甲子園球場には、大正5年に行われた第2回大会より、救護班が設置されています。現在は、球場近くの明和病院などの医師や看護師らが救護室で待機し、選手や観客の救護にあたっています。

今回、熱中症や日射病と見られる症状で救護室へ行った観客は、8日は61人、9日は42人にも上り、一時は部屋に入りきらないまでになりました。


夏のスポーツ時に起きやすい、熱けいれん

9日の第1試合では津商の投手が両手足のけいれんを訴えて降板し、第2試合では創成館の二塁手が同じく両足のけいれんにより交代しました。どちらも熱中症によるものと診断されています。

 

この熱中症によるけいれんは「熱けいれん」と呼ばれており、激しいスポーツの最中に大量の汗をかいた後、失われた塩分を補給せず、水分のみを過剰に補給することで起きる症状です。

水分のみを過剰に摂取すると、体内の塩分が薄まることで、筋肉が強く収縮し、けいれんを生じることがあります。

 

特にテニス選手やマラソン選手など、大量の汗をかいた後、長い間失われた塩分を摂取できない場合によく起きるといわれます。軽症なら、塩分を含んだ飲み物や食べ物を摂取することで治り、痛みが起きた場合はストレッチで和らぎます。

真夏のスポーツ時には、水分補給と共に、塩分補給も欠かせません。

 

高野連の対応とガイドライン

多くの選手や観客が熱中症や日射病に見舞われる中、大会本部は試合を控える出場チームに、水分補給の重要性を説明したり、試合後、すぐに取材を受ける選手に対し、水の入ったペットボトルを手渡ししたりして、対処を行いました。場内放送などでも、帽子の着用や、日陰での休憩、水分補給などが呼びかけられています。

 

日本体育協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(2013)」によれば、気温35度以上の場合、運動は原則中止、31度~35度では熱中症の危険が高いため「厳重注意」で、激しい運動は中止との指針が立てられています。

 

甲子園球場では連日最高気温35度前後の日が続いています。また、球場のグラウンドはとくに高温となり、危険度は増します。
選手や観客の健康を考えると、夏に開催すること自体への懸念の声も上がっています。

 

(参考)

メルクマニュアル第18版「熱中症」

熱中症予防情報サイト(環境省)

 

 

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