小児ホスピス建設へ募金募る―国内で小児ホスピスが増えない理由とは?

【ナース知っ得ニュース 2015/8/5】

 

現状、余命宣告をされた人々が最期の時を過ごすための緩和ケア施設は多く存在するものの、子どもが家族と最期の時を過ごす「小児ホスピス」は、国内では少数にとどまります。

そんな小児ホスピスを作ろうと、神奈川県在住の有志がチャリティーコンサートの開催などを行い、設立資金を募っています。

 

余命宣告の子に心休まる場を 小児ホスピス建設へ資金募る(東京新聞)

 

子を亡くした親などが実体験から「小児ホスピス」の必要性を痛感

建設を目指している小児ホスピスでは、看護師が常駐し、緊急時にはすぐに子どもを病院へ連れて行く体制が目指されており、その他、宿泊室やイベントを行える大きな部屋をつくることなども計画されています。

 

実際に余命宣告を受けた子どもと最後の数ヶ月間を過ごした経験を持つ親たちは、自宅から医療センターへの往復や、限られた面会時間などの不便さを感じたといいます。

その経験から、子どもを亡くした過去を持つ親や病院の元職員が設立したのが「横浜小児ホスピス設立準備委員会」。最期まで家族と共に不自由なく過ごすことができ、医療面でも不安のない施設の設立を志しているそうです。

 

英国で始まった小児ホスピス。日本ではまだ数少ない

小児ホスピスは、1982年に英国で生まれました。日本では、大阪市にある淀川キリスト教病院がその精神を引き継いで、医療機関として唯一小児ホスピスを設置しています。しかし、まだまだ動きは遅く、レスパイトケアや小児患者を支援するNPOやボランティア団体の動きが少しずつ広まっているというのが現状です。

 

淀川キリスト教病院の「こどもホスピス」は、世界で初めて小児ホスピスを創設した英国のシスター・フランシス・ドミニカ氏が創設を希望して作られたといわれています。

歌や伝統芸能などのコンサートをはじめとしたさまざまなイベントを開催し、緩和ケアを充実させています。

 

運営には最低3億円必要。小児ホスピスが増やせない理由

小児ホスピスを運営するには、最低でも年間約3億円は必要になるといわれています。

設立まで漕ぎ着けたとしても、その後の運営のためには継続した収入が必要になります。それだけの財政基盤を構築するのに時間がかかるため、小児ホスピスの開設は進めにくいという課題があります。

 

またNPO法人やボランティア団体の場合、運営資金は寄付や募金でまかなうことになるため、小児ホスピスへの関心と需要が薄れれば存続が難しくなってしまいます。

 

日本でレスパイトケアや小児患者を支援する動きが広がっていくためには、これらの課題を克服していく必要があります。

 

 

(参考)

【小児ホスピス】日本ではどうなってるの?―重症の子どもと家族のサポート事例

英国・子どものホスピスの現状 多田羅 竜平(大阪市立北市民病院 小児科兼緩和医療科)(医学書院)

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