フットポンプとは・・・
フットポンプ(ふっとぽんぷ)とは足部や下腿を間欠的に圧迫することで下肢の静脈血の還流を手助けする医療機器である。手術後など臥床を要する患者の静脈血栓塞栓症を予防することを目的としている。間欠的空気圧迫装置、IPCポンプとも呼ばれる。
静脈血栓塞栓症
静脈血栓塞栓症は、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の総称である。
通常人間の静脈血は、下肢筋肉の運動時の筋ポンプ作用によって重力に逆らい、下肢の末端から心臓へと還流している。手術後など長い間床上での安静を強いられると末端の静脈血が心臓に還流することができなくなり、血液がその場にとどまって血栓が生じることがある。これを深部静脈血栓症と呼び、そこでできた血栓が肺の動脈をつまらせると肺血栓塞栓症と呼ばれる。
深部静脈血栓症は太ももやふくらはぎの腫れや痛みなどの症状を起こすこともあるが、無症状で気づかれないことも多い。肺血栓塞栓症は胸の痛みや息苦しさを感じる。
静脈血栓塞栓症は手術後に限らず、飛行機やバスなどで同じ体勢を長くとり続けていても発症し、エコノミー症候群やロングフライト血栓症などとも称される。重症例では死に至ることもあるため、フットポンプなどによる予防が行われている。
種類
フットポンプは4種類あり、それぞれは下記のとおりである。
・下腿型(カーフポンプ)
・足底型(フットポンプ)
・下腿大腿型(カーフタイポンプ)
・足底下腿型(フットカーフポンプ)
上記の中でも、下腿(膝から足首までの部位)を中心に圧迫するカーフポンプと、足底部を圧迫するフットポンプがよく用いられる。それぞれ手術の種類や患者の状態などにより使い分けられている。
メリット・デメリット
メリット
出血のリスクが高く、薬物の投与が困難な患者に適用可能である。また、下肢の運動が不可能な場合でも、下肢の静脈の還流を促すことができる。
デメリット
チュープでつながれている状態であるため、早期離床を妨げる恐れがある。
注意点
深部静脈血栓症の発症が疑われる場合、すぐに使用を中止する。深部静脈血栓症の患者にフットポンプを用いると、血栓を遊離させて肺血栓塞栓症を起こす危険性があるためである。