プロラクチンとは・・・
プロラクチン(ぷろらくちん、prolactin〈PRL〉)とは、下垂体前葉ホルモンの一つで、乳管への乳汁分泌作用と性腺抑制作用を持つ。
具体的な生理的作用としては、分娩後、乳児の母乳吸引刺激によりプロラクチンの分泌量が増加し、乳汁産生を増加させる。また、卵巣機能を抑制することで、産褥性無月経を誘発する。
高プロラクチン血症
臨床的には高プロラクチン血症が重要である。高プロラクチン血症は、病的にプロラクチンの分泌が過剰になった状態で、プロラクチン産生下垂体腫瘍や薬剤が原因となることが多い。また、20〜30代の女性に多い。
薬剤性高プロラクチン血症は、プロラクチンを抑制する神経伝達物質であるドパミンの生理的作用の低下によるプロラクチンの過剰産生で起こる。そのため、ドパミン受容体遮断薬(抗精神病薬、抗うつ薬、制吐薬、抗潰瘍薬)やドパミン産生抑制薬(降圧薬など)が原因でなりやすい。
臨床症状は、乳汁漏出と性腺機能低下(不妊・無月経)である。また、下垂体腫瘍による圧迫症状で、頭痛や視野障害を認めることもある。
診断は血中プロラクチンを測定することで行われる。成人女性で30ng/mL以上、男性や小児で15ng/mL以上で高プロラクチン血症と診断される。
治療は、薬剤性の場合は原因薬物の中止が、プロラクチン産生腫瘍の場合はドパミンの作用の亢進によりプロラクチンの分泌が抑制されるため、ドパミン受容体作動薬であるブロモクリプチン(パーロデル®など)などが使用される。