輪状甲状靱帯切開の介助 | 輪状甲状靭帯切開【1】
【大好評】看護roo!オンラインセミナー
【監修】
中島恵美子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
【執筆】
伊藤有美 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 講師)
「輪状甲状靭帯切開」の目的
●異物や損傷・血腫・腫瘍などによる上気道閉塞がある場合に緊急的な最終手段として気道確保し、換気・酸素化を維持する
●上気道に貯留した分泌物を吸引することにより気道クリアランスを改善する
「輪状甲状靭帯切開」の適応
●気管挿管ができない、あるいは、気管挿管が遅れると生命維持ができない緊急性が高い場合に適応される
●開口困難例や気管挿管不成功例、顔面外傷・大量出血などの気管挿管不可例、喉頭浮腫・喉頭痙攣などの上気道閉塞例などに用いられる
●緊急時以外として、気管チューブ抜去後の気道クリアランスが低下している患者に適応される場合もある
「輪状甲状靭帯切開」の禁忌
●輪状甲状靭帯が狭くて同定しづらく声門下狭窄を起こしやすい場合(①12歳以下、②咽頭外傷、③気管損傷、④声門下狭窄など)や、血液凝固異常などが禁忌である
「輪状甲状靭帯切開」の必要物品
- バッグバルブマスク
- 聴診器
- 輪状甲状靭帯切開キット
- バルスオキシメーター
- 消毒セット
- 注射器
- 注射針
- 局所麻酔薬
- 滅菌ガウン
- サージカルマスク
- 穴あき滅菌ドレープ
- 滅菌手袋
- キャップ
- 救急カート
「輪状甲状靭帯切開」の準備
(1)患者さん・ご家族に説明し、同意を得る
(2)患者さんの体位を調整する
(3)切開やすいように肩まくらを挿入する
(4)必要物品を滅菌野に準備する
「輪状甲状靭帯切開の介助」の実施手順
(1)【看護師】これから消毒をし、ドレープをかけることを患者さんに説明する
(2)【医師】患者さんに消毒をし、患者さんにドレープをかける
(3)【医師】局所麻酔後に、輪状甲状靭帯切開を行う
(4)【看護師】切開中、全身状態の観察を行う
(5)客観的に観察して疼痛を判断し、医師に報告する
(6)患者さんへ声をかけ、精神的サポートを行う
精神的サポートの一例
・処置の進捗状況を伝える
・苦痛の有無を質問する
(7)チューブを固定し、患者さんの観察を継続する
(8)必要時、気管吸引を実施する
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)日本救急看護学会監修:V 外傷患者に対する基本的処置と対応 5.気道(A)の異常に対する基本的処置と対応.外傷初期看護ガイドライン JNTECTM 改訂第3版.p.193~195、東京、へるす出版、2014.
(2)野村岳志:麻酔科医に必要な気道確保のポイントと教育 緊急気道確保:器具と外科的処置 ②輪状甲状膜穿刺(切開).日本臨床麻酔学会誌.Vol.34、No.4、p.613~621,2014.
(3)四本竜一:抜管前後の観察・評価 ⑤輪状甲状靭帯切開とケア. Vol.59、No.11、p.59~62、2013.
(4)片岡由美:気道緊急確保と確保困難患者への対応.Vol.5、No.1、p.28~39.2015.