筋肉注射(上腕部)の準備 | 注射【2】
【執筆】
山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
「筋肉注射(上腕部)」の目的
●皮下組織よりも深部にある筋層に無菌操作で薬液を注入し、毛細血管から吸収させて薬理効果を期待する
「筋肉注射(上腕部)」の適応
●刺激性の強い薬液や油性の薬液、懸濁液(けんだくえき)など
●皮下注射を行うと皮下組織が変性する危険性を伴うため、筋肉注射が適している
「筋肉注射(上腕部)」の禁忌
●血小板減少症、血友病などの出血傾向のある患者や、筋肉の発達途上にある小児の場合
●筋層の厚さが少ない場合(神経損傷や血管内への誤注入の危険があるため、皮膚をつまみあげ、筋層を確認し、針の刺入角度と深さを判断し、実施する)
「筋肉注射(上腕部)」の必要物品
- 針捨て容器
- 消毒液
- トレイ
- 注射薬
- 注射針(22~23G)
- 注射器(2~5mL)
- アルコール綿
- 注射指示書
- 手袋
「筋肉注射(上腕部)」の準備
(1)患者さんに、筋肉注射の目的や、方法を説明し承諾を得る
(2)注射器・注射針の破損・汚染の有無・有効期限を確認する
(3)注射薬を取り出し、誤薬防止のため、6Rを声に出しながら、指差し確認を行い、注射指示書と照合する
■誤薬防止のため6R(Right)
- 正しい患者(氏名、部屋番号など):Right Patient
- 正しい薬剤:Right Drug
- 正しい量:Right Dose
- 正しい方法:Right Route
- 正しい時間:Right Time
- 正しい目的:Right Purpose
(4)薬剤の有効期限・性状・異物混入の有無を確認する
(5)注射器・注射針を無菌操作で取り出し、接続する
(6)注射器の刃面と注射器の目盛を合わせる
(7)薬剤を注射器に吸い上げる前に、誤薬防止のため、再度6Rを声に出しながら指差し確認を行い、注射指示書と照合する
(8)円を描くようにアンプルを回し、薬液を落とす
(9)無菌的に薬液を吸い上げる
(10)シリンジ内の空気を抜いておく
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)藤井徹也(著):考える基礎看護技術Ⅱ 看護技術の実際,ヌーヴェルヒロカワ,2015:267-279.
(2)肥後すみ子(著):新体系 看護学全書 基礎看護学③ 基礎看護技術Ⅱ,メヂカルフレンド, 2015:270-286.
(3)脇坂豊美,川西千恵美(著):学ぶ・試す・調べる 看護ケアの根拠と技術,医歯薬出版,2014:125-136.