患者さんが初めて亡くなったときのこと|仲本りさのTALK ROOM【7】

看護師&イラストレーター、仲本りさが看護師&看護学生のみなさんのお悩みにイラストエッセイでお答えします。

仲本りさのTALKROOMタイトルイラスト

連載:仲本りさのTALKROOM

お悩み7 初めて患者さんが亡くなった時のこと

今回のお悩み 

初めて自分がケアをさせていただいた高齢の男性患者さんが亡くなりました。

臨時でケアを経験させていただいたので、1時間半の関わりしかなかった患者さんでした。

たぶんその患者さんは私が誰だか認識していなかったと思います。

でも、その患者さんにとって最期の清潔ケアでした。

私は、自分には何かできただろうか、もっとできることがあったのではないだろうか。

と、ずっとぐるぐると考えています。

初めてのケアで、手際はあまり良くなかったかもしれない。

ベテランの看護師さんが行うより、体位変換の負担が大きかったかもしれない。

でも、私なりに一生懸命向き合ったつもりです。

手を握ったら、すこし安心して落ち着いてくださった気もします。

人って本当にいついなくなってしまうかわからないのだと突きつけられました。

今まで身近で人が亡くなったことがなかった私にとって「死」とはどこか壁一枚隔てたものであったけれど、目の前の患者さんにケアをさせていただくのはこれで最後になるかもしれない。

そのことを忘れずに、今、目の前にいる患者さんに後悔のないよう、しっかり誠実に向き合っていこうと強く思いました。

 

りささんは関わった患者さんが初めて亡くなられたとき、何を思いましたか。

今でも、患者さんが亡くなられたとき、悩むことや後悔することはありますか。

 

(elpis 看護学生)

 

患者さんが亡くなり「自分にはもっとできることがあったかもしれない」と悩む看護師のイラスト

 

りさの回答

こんにちは。

 

目の前の患者さんにケアをさせていただくのはこれで最後になるかもしれない。
そのことを忘れずに目の前の患者さんに後悔のないように誠実に向き合おうと思いました。

 

患者さんが亡くなったつらい体験を乗り越えて

いい振り返りをされたのですね。

 

そうですよね。

人の生死に携わる機会を経験すると

今この瞬間がいかに奇跡的なことか、当たり前なんてないんだ

と実感しますよね。

 

人の最期を目の当たりにして、

看護師としてのスキルや能力がもっとあれば

できたことがもっとあったんじゃないか

って思いがどうしてもつきまとうものですが、

その根っこの部分では

elpisさんが気づいたように

「誠実に向き合う」

ことが大切なんじゃないかなあと思います。

誠実に向き合おうとするから、

看護師としてできることを増やそうと思えるはず。

 

今できることに誠実に向き合いながら患者のケアをしている看護師のイラスト

 

担当の患者さんが初めて亡くなったときのことは

よく覚えています。

 

数日前から状態も悪く、

いつ最期がきてもおかしくないと家族にも説明されている段階で

もう、本人ができるだけ苦しくないように看取っていく…という患者さんでした。

 

初めてのことで不安もありましたが、

挙動不審にならないように、精一杯気を張って

ちょこちょこ部屋を見に行って

できるケアは行って…

先輩も気にかけてくれていたので、

静かにお看取りさせてもらうことができました。

 

とても大事に大事にした時間でした。

 

終末期の患者のケアをする看護師のイラスト

 

その後もやらなきゃいけない業務は山積みで、

患者さんとの生前のやりとりや、

こんなこと言ってたなあと、思い出しては

ぼーっとする頭を切り替えて

仕事をこなしていかなくちゃいけないことなんかが

とても不思議に思いました。

 

やることが終わりその日の仕事が終わって着替えて帰宅したこと。

患者さんが亡くなった日でさえ自分のお腹が空いたこと。

ご飯を食べたら普通に味はしたし、

夜には眠くなって寝たこと。

翌日はまた普通に仕事に行ったこと。

 

日常の中に誰かの死があること、

自分の生活があること、

そんなことが

なんて言っていいのかわからないんですが

不思議でした。

 

患者が亡くなった後にも普通にお腹が空くことを不思議に思う看護師のイラスト

 

初めて患者さんを看取ってから4年経って、

今では

人がいつか亡くなることや、

今日担当した患者さんが

次出勤した時には

もしかしたら

ガラッと状態が変わっていることがあるかもしれない、

ということことも

よく理解できるようになって、

お看取りの際に

やってあげたいことや

やってあげられることが

少し増えてきました。

 

でも、悩まないことはないです。

今でも悩んだり後悔したりすることはあります。

 

それは多分

患者さん一人ひとり、

生きてきた軌跡も

大切にしてきたものも

最後の迎え方も

十人十色なので、

こうすれば正解!こうすればいいケア!

みたいなテンプレートがないからだと思います。

 

やっぱりその都度、

誠実に向きあうことが

後悔のない関わりへの一歩なのだろうと思います。

 

看護師を続けていると、

自分の浮き沈みもあるし

毎日仕事に100%で向かっていくことは難しいですが、

人に対して

「誠実に・正直に・投げやりにならないで」

向き合っていきたいと思います。

そういう努力ができる人間でありたいです。

 

患者のケアをしている看護師のイラスト

 

 

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【プロフィール】

仲本りさ 

1991年生まれ。大阪府出身。看護師兼イラストレーター。看護師についてのInstagramが話題となり、実話に基づいたイラストエッセイ「病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。」(いろは出版)を出版。

 

Instagram:@risa_rsrs

Twitter:@RisaRsrs

Blog:リサノート

Interview:真っ暗だった1年目を越えて。今伝えたいこと

 

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