看護師の採用試験では「小論文」がある病院も少なくありません。文章を書くのは苦手…という方も多いでしょう。ですが、ポイントを押さえれば、誰でも伝わりやすい小論文が書けます!書き方のポイントとテーマ・回答の例文を紹介します。
看護師の小論文はココが見られている
小論文とは、あるテーマに関して「自分の考えを述べ、そう考える根拠・理由・具体例を論理的に説明する」文章のこと。出来事や感想をまとめたり、主張だけを並べたりする作文とはちょっぴり異なります。
看護師採用試験の小論文で見られているのは、主に次の3つです。
- 基本的な文章力
- 論理的な思考力
- あなたの人間性・価値観
わかりやすい文章や論展開になっているか、どんな価値観を持つ人かなどから、看護師としての資質を確認するための試験です。
よく出題されるテーマ例
小論文のテーマは「あなたの内面・経験」「医療・看護」「時事」に関するものがよく出題されます。志望先の病院では、どんな出題傾向があるかを調べておくとよいでしょう。
「あなたの内面・経験」に関するテーマ例
- あなたが目指す理想の看護師像について
- あなたの看護観について
- 「10年後のあなた」はどうありたいか
- 私を成長させた出来事
- 学生時代に最もつらいと思った経験と、それをどう解決したか
「医療・看護」に関するテーマ例
- チーム医療における看護師が果たすべき役割について
- 少子高齢化の中で看護師に求められる役割
- 災害時において看護師ができること
- 「質の高い看護」とは
- 看護師として必要な心構えとは
「時事」に関するテーマ例
- 医療における働き方改革についてあなたの意見を述べよ
- 看護師不足について
- 最近のニュースからあなたが気になったことと、それに対する考え
小論文対策 3つのポイント
小論文は、書き方の「型」を押さえるとうまく書けます。次のようなポイントを意識してみましょう。
「3部構成」が基本型
小論文は「序論・本論・結論」の3部構成で書くのが、最も基本的な型です。短い時間でも展開をまとめやすく、読む人にもわかりやすいのでおすすめです。
小論文の3部構成
※文字数は「800字」指定の場合の目安
序論 150字
- テーマに対する自分の考え・意見・問題提起を簡潔に述べる
- 「私は◯◯と考える」「◯◯で大切なことは△△である」
本論 500字
- 序論で述べたことの根拠・具体例・背景などを説明する
- 「なぜなら~」「実際に~」「◯◯とは~」
結論 150字
- あらためて自分の意見をまとめ、前向きな提案・決意を込める
- 「看護において◯◯は重要である。そのために△△が実現するよう、私も尽くしていきたい」
時間/文字数は「60分/800字」が多いようです。病院によっては「30分/400~600字」「50分/800字」などもあります。
時間配分をして構成を練る
慌てて書き出すと何を言いたいのか、まとまりのない文章になりがち。まずは落ち着いて「構成」を考えることが大切です! 小論文が苦手な人ほど、構成を考えることに多めの時間を配分するとよいでしょう。
小論文 時間配分の目安
- 構成を考える(15~20分)
- 文章を書く(30~40分)
- 見直す(5分)
書き方のルールを意識する
下記のようなルールを意識するだけで、小論文の仕上がりがぐっとレベルアップします。書く前や見直しのときにチェックしましょう。
小論文 書き方のルール
- 誤字・脱字がないか
- 「だ・である」で語尾が統一されているか
- 「指定された文字数の9割」に達しているか
- 「~と思う」ではなく、「~と考える」になっているか
- 5W1Hがハッキリわかるか
- 一文が長すぎず、読みやすいか
- 序論と結論に矛盾がないか
- 看護学生として不適切な主張がないか
(非常識・自己中心的・無責任・攻撃的など)
【例文】私が目指す看護師像
よく出題されるテーマ「私が目指す看護師像」について模範解答を紹介します。構成や書き方のルールなどの参考にしてみてください。
「私が目指す看護師像」(800字)
私は、常に学びの姿勢を持ち続ける看護師でありたい。専門的な知識と高い技術を身につけるのはもちろん、一人の人間としても成長を重ねていくことが、患者様やご家族を全人的にケアする看護という職業において重要と考えているからだ。
まず、患者様に質の高い看護を提供するためには、疾患・病態やケアに関する確かな知識と技術が不可欠である。実習中、受け持ちの患者様の「明日の検査ではどんなことをするのか」との質問に、すぐに答えられないということがあった。私のあいまいな態度は、患者様に不安や不信感を抱かせただろう。医療は非常に専門性の高い領域だ。その知識や技術に対する患者様の信頼があって初めて安全・安楽な看護は成立するのであり、そのための自己研鑽を怠ってはならないと痛感した経験であった。
また、看護師には患者様やご家族の思いに寄り添う役割も求められる。実習で出会った看護師の方々はいずれも高いコミュニケーション力を備えており、痛みや不安が「怒り」となって現れる患者様に対しても、深い共感と思いやりのある言葉で信頼関係を築いていた。そうしたコミュニケーション力をどのように身につけられるか、数人に教えていただいたが、共通していたのは「学び続ける姿勢」だった。ある指導者は「患者さんからたくさんのことを学び、それが次のコミュニケーションの深みにつながっている」と話しており、その言葉に大きな感銘を受けた。
患者様やご家族の中には身体的・心理的・社会的な苦痛を抱え、人生を嘆くような思いに沈む方もいる。その思いを汲み取り、支援するには看護の知識・技術、コミュニケーション力が必要だ。しかし、それらはすぐに獲得できるものではなく、日々の学びや経験を糧に少しずつ磨いていくものではないだろうか。自身の成長が患者様・ご家族のためにつながっていることを認識し、理想の看護師を目指していきたい。
執筆者プロフィール
看護roo!編集部
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更新日:2024/12/17