エンゼルメイク | エンゼルケア【2】

【執筆】

山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)

 

「エンゼルメイク」の目的

●エンゼルメイクは、ケアの一環としての死化粧であり、生前の面影を可能な範囲で取り戻すことが目的

●メイクで失われた血色を補うことで、穏やかな顔になる

●顔は、周囲の人の記憶の中に存在するため、穏やかな最期の顔は、家族や縁者の心も穏やかにする

 

「エンゼルメイク」の注意点

●エンゼルメイクは、一方的でなく家族の意向や希望に添えるように一つ一つの行為を家族に確認しつつ、家族とともに実施する

 

「エンゼルメイク」の必要物品

クレンジング・マッサージクリーム ヘアピン 乳液 ビニール袋(ゴミ捨て用) エンゼルメイク用パレット エプロン マスク 蒸しタオル ディスポ手袋 ティッシュペーパー(折ったもの)

  • クレンジング・マッサージクリーム
  • ヘアピン
  • 乳液
  • ビニール袋(ゴミ捨て用)
  • エンゼルメイク用パレット
  • エプロン
  • マスク
  • 蒸しタオル
  • ディスポ手袋
  • ティッシュペーパー(折ったもの)

 

「エンゼルメイク」の実施手順

(1)ご家族へエンゼルメイクについて説明し、同意を得る

ポイント

エンゼルメイクは、家族の意向や判断を最優先しながら、患者さんが生きている時と同様の態度や姿勢をもって行う

 

(2)エプロンをつけ、体位を15度ファーラー位にする

 

(3)タオルを頚部から胸元に当て、髪をピンで留める

 

(4)物品を使いやすい位置に配置する

 

(5)クリームを使用前に手の甲で温める

ポイント

顔の肌はほかの皮膚より冷たくなっているため、温めたうえで、クリームを柔らかくしてからつけると伸びが良い

 

(6)クリームを顔につけ、らせんを描くようになじませる

 

(7)顔の中央から外側に向けてマッサージする

 

(8)汚れがたまりやすい小鼻は、重点的にマッサージする

 

(9)クリームと皮膚の汚れを、ティシュペーパーで吸収させて取る

 

(10)蒸しタオルで顔全体を温める

ポイント

汚れがたまりやすい小鼻に 蒸しタオルが接するようする

 

(11)乳液を掌でなじませ、顔を包むようにつける

 

(12)赤みがあるファンデーションを少量ずつ顔全体につける

 

(13)ほお紅をつけ、血色がよく見えるようにする

 

(14)眉毛の流れを整え、まゆずみでうっすらと眉を描く

 

(15)エンゼルメイクが終了したことをご家族に説明する

 

【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)

【引用・参考文献】

(1)小林光恵(著):ナースのための 決定版エンゼルケア,学研メデイカル秀潤社,2015:58-76.

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